くちびる王子 03
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秋ももうすぐ終わりに近い。
だんだん寒くなってきたある日のこと。
俺の部屋で雑誌を読みながら何やら唇を動かしている蘭子。
誘ってんのか?
いや、それはねぇな。
無意識なんだろう。
心の中でぶつぶつ言っていると、蘭子が顔をしかめた。
「っ、」
眉間にシワを寄せながら唇を舐めている。
夜、毛布を口元までかぶって寝ているんだろう。
カサカサした唇を無意識に歯で剥いていたのか。
血が滲んでる。
「貸せ」
「え?…しょっ、」
血を舐めとって、ついでに軽いキス。
最後には可愛いリップノイズもつけて。
「んっ…」
「剥くな。俺のモノに勝手に傷つけんじゃねぇ」
「ばっ…!」
顔を真っ赤にして口をパクパクさせている。
俺は、蘭子に傷つける奴は許さねぇ。
たとえそれが、蘭子だとしても。
コイツは俺のだから
(お題配布元:確かに恋だった様)