運命のいたずら

□とくべつになりたい
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高橋宏臣



同じクラスに同じ姓がもう1人、高橋雄介がいるから男女問わずヒロ、やヒロくん、と名前で呼ばれることが多い。










でも――――





彼女に名前を呼ばれたことがない気がする。








もしかしたらただの思い込みかもしれない。





でも、意識すれば余計に気になるもので。





俺は、付き合ったときからすぐに由希、と呼び捨てなのに。












「ねぇねぇ」



「…」



「ねぇ、」



「…」



「ねぇっ!」





寝転がって本を読んでいる俺を呼ぶ由希。



本当はさっきから同じ行ばかり何度も読んでいて、内容なんか頭に入ってこない。



名前を呼んでほしくて無視し続けていたら肩をつつかれた。





「…なんで無視するの…」



「俺の名前知ってる?」



「え、…うん。」



「何?」



「…た、高橋くん。」





はぁ〜、



何だよ、彼氏を苗字でくん付けって…





「俺のこと何て呼んでんの?」



「…」



「雄介のことは?」



「…雄介」





確かに雄介はみんなに呼び捨てで呼ばれてるけど…



どうして俺のことは名前で呼んでくれないんだよ、と問えば





「恥ずかしい…」





膝を抱え、それに真っ赤な顔を埋める可愛い由希。





恥ずかしがることをさらにさせたくなるこの本能は何だろう。














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