あれからほぼ毎日、バイト帰りにあたしの部屋に寄る彼。
断りきれずに部屋にあげ、お茶も出さずに彼の世間話を聞く。
ろくに返事もしないあたしを怒ることもなく、強く迫ることもしない彼が何を考えているのか分からなかった。
ただ、帰るときにまた来る、と微笑む笑顔が昔から変わっていなくて、胸が苦しくなる。
そんな自分に気付くのが嫌で、部屋に帰るのが遅くなった。
友達と遊んで時間を潰し、出来るだけ彼のことを考えないようにした。
今日は友達と食事をしようと店に入るとき、偶然会った大学の先輩と一緒に食べることになり、合コンのような雰囲気になった。
ずっとあたしの隣に座っていた水城先輩は入学当初からよくデートに誘われていたが、女癖の悪そうな彼が苦手でいつも断っていた。
そんな人といて楽しいはずがなく。お開きということでほっとしたのに、
「由希ちゃんと同じ方面俺だけみたい。送るよ」
せう言って微笑んだ彼に寒気がした。
2人きりなのはあたしたちだけで、水城先輩は他の先輩に送り狼になるなよ、などと言われ冷やかされた。
笑えない冗談はやめてほしい。