運命のいたずら

□運命だから、
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あれからほぼ毎日、バイト帰りにあたしの部屋に寄る彼。





断りきれずに部屋にあげ、お茶も出さずに彼の世間話を聞く。



ろくに返事もしないあたしを怒ることもなく、強く迫ることもしない彼が何を考えているのか分からなかった。





ただ、帰るときにまた来る、と微笑む笑顔が昔から変わっていなくて、胸が苦しくなる。










そんな自分に気付くのが嫌で、部屋に帰るのが遅くなった。



友達と遊んで時間を潰し、出来るだけ彼のことを考えないようにした。





今日は友達と食事をしようと店に入るとき、偶然会った大学の先輩と一緒に食べることになり、合コンのような雰囲気になった。





ずっとあたしの隣に座っていた水城先輩は入学当初からよくデートに誘われていたが、女癖の悪そうな彼が苦手でいつも断っていた。



そんな人といて楽しいはずがなく。お開きということでほっとしたのに、





「由希ちゃんと同じ方面俺だけみたい。送るよ」





せう言って微笑んだ彼に寒気がした。





2人きりなのはあたしたちだけで、水城先輩は他の先輩に送り狼になるなよ、などと言われ冷やかされた。





笑えない冗談はやめてほしい。














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