小説

□夏バテとその後
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「う゛ー…ちょっと無理しすぎたかな…。」

現在は日曜日の昼下がり。

ボクは今、絶賛胃の痛みと戦い中である。







〜夏バテとその後〜







事の始まりは今日のお昼にあった。

ちょっと早い夏バテにやられたボクを心配したカルタたんが、お昼ご飯のハンバーグを分けてくれた。

あーんで食べさせてくれた一口でボクは終わると思っていた。

が、何故かそのまま食べ続けさせられることになり、あの大きなハンバーグの半分はきっとボクが食べていただろう。

更にいらない気を遣った渡狸もオムライスをボクにねじ込んできたものだから、正直胃への負担が大きかった。

油を使った料理な上に、消化しにくい肉と卵ときた。

案の定ボクの胃は悲鳴を上げて、現在ベッドにお世話になってる。

せっかく食べさせてくれたカルタたんと渡狸に胃が痛くなったのを気付かれたくなくて、こっそりとラウンジを抜けてきた。

でも胃薬も飲んだから、そのうち良くなるはずだ。

しかしこの調子だと晩ごはんが食べられず、また昼間の様な現象が起こるのではと頭を抱えた。

と、その時部屋にノックの音が響いた。

「はーい、どちら様〜?」

胃が痛いのを悟られないように、いつも通りに声を出して扉に向かう。

もしかしたら渡狸かカルタたんかもしれない。

「夏目さん、僕です。」

「あれ、そーたんー?」

かちゃりと扉を開ける。

そこにはいつも通りスーツ姿のそーたんが居た。

入りますよ、と一言だけ言って、するりと部屋に入り込む。

ぱたんと扉が閉められた。

「どうしたの?何か用事?」

「はい。夏目さんが胃痛に苦しんでると思いましたので、看病を。」

にこりとする笑顔が眩し過ぎる。

本当、そーたんに隠し事はできない。

「まぁちょっと痛いけど、もう胃薬も飲んだしヘーキ。」

「さぁ、ベッドに行きましょうか。」

総スルーされた。

そのまま背中を押されてベッドに向かわされる。

「ちよたんはいいの〜?」

「凜々蝶様は現在お部屋でお休みになられてます。何かあれば携帯に連絡をくださるよう伝えておきました。」

流石はそーたん、万全だ。

でも正直、胃痛なんて大した病気でもないのに、そんな事のためにそーたんの時間を使ってほしくない。

「ねぇそーたん、ボク大丈夫だから。看病なんていらないよ?」

「…本当に大丈夫なのですか?」

「うん。ただの胃痛だし、大分良くなったから。」

くるりと振り返ってそーたんを見上げる。

まだ少し心配そうな顔をしてたけど、何かを思い付いたような顔になり、その後にこりと微笑んだ。

なんだか嫌な予感。

「では、このまま激しい運動をしても大丈夫ということですよね?」

「へっ!?ぅわ!?」

ひょいっと抱き上げられ、そのままベッドに押し倒される。

「ちょ、ストップ!まだお昼だから!」

「大丈夫とおっしゃいませんでしたか?」

「や、でも流石にそれは無理…!」

別の意味で胃が痛くなりそうです。

じたばたと精一杯の抵抗をする。

でも微動だにしないそーたんを見て、自分の力の無さに情けなくなった。

「無理なら、ゆっくり休みましょう。」

「へ…?」

そーたんがボクの上から退いた。

そしてぽふっと布団がかけられる。

ぽかんとしてると、そーたんがベッドサイドに腰掛けた。

どうやら本当に看病してくれるらしい。

なんだかんだで、そーたんはすごく優しい。

「…そーたん。」

「なんですか?」

「ありがと。」

「どういたしまして。」

そーたんはまた、優しく微笑んだ。







END
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