小説

□少し早い夏バテです
1ページ/1ページ



最近めっきり暑くなってきた。

照り付ける太陽に、今年も夏が近づいてきたのだと実感した。







〜少し早い夏バテです〜







現在は日曜日のお昼。

ラウンジに皆が集まって、各々食事をしている。

ちよたんが食べてるのをそーたんが見守っている。

レンレンは暑い暑いと言う割に今日もうどんを食べてる。

その横で先に食事を済ませた野ばらちゃんがコーヒー片手にグラビア雑誌を眺めていて。

ボクが座ってる横で渡狸がオムライスを頬張って、その向かいでカルタたんがハンバーグを食べていた。

今日は三人で座ってのご飯。

渡狸もカルタたんもよく食べるな〜と二人を見守る。

「…夏目…食べないの…?」

ふと、カルタたんがボクに話しかけてきた。

ボクは暑気にやられたのか、正直食欲が湧かない。

手元にはアイスコーヒーのみだ。

「なんか今そんな気分じゃなくてねー☆」

いつも通りに軽く返す。

するとカルタたんの顔が少し真剣になったのがわかった

「食べないと、ダメ。」

「うん、またお腹空いた時に食べるよ?」

「いつ…お腹空くの?」

「そのうち空くよ〜。」

カルタたんが心配してくれてるのがわかった。

でも今は本当に食べる気がしなくて、申し訳ないとは思ったけど軽くかわさせてもらう。

するとカルタたんがハンバーグを一口サイズに切って、ボクの方に持ってきた。

「…食べて。」

「えーっとぉ…。」

横の渡狸からの視線が痛い。

それから遠く斜めからの野ばらちゃんの視線も痛い。

この状況はどうしたものか。

「夏は…体力の消費が激しいから…ちゃんと食べないと持たないよ…?」

「…うん。」

「夏目は普通より弱いから心配なの…だから食べて。」

女の子に心配されるボクって、男としてどうなんだろう?

そんな事を考えてる間にもハンバーグが距離を縮めてくる。

「ちょっと夏目!あんたカルタちゃんからのあーんを無視する気なの!?嫌なら代わりなさい!!」

「そ、そうだぞ残夏!カルタからの食いもん粗末にしたらただじゃおかねぇからな!」

「ふん、女性からの配慮を受け止められないとは、君もぞんざいな人間だな。」

「一口くらい食ってやれよー。」

食べるのを渋っていると、野ばらちゃんから叱咤された。

それに続いて渡狸が羨ましいのを抑えて食べるよう促してくれる。

ちよたんやレンレンに関しても同じ。

そーたんは何も言わなかったけど、笑顔が「食べましょうか」と語っていた。

言い方は悪かったりするけど、皆ボクの体を心配してくれてるのがわかった。

すごく嬉しい。

「…いただきます。」

やっとボクはハンバーグを口に含む。

口の中と同時に、心まで温かくなった。







END

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ