小説
□どうせ甘いなら
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日付が回ったあたりのこと。
携帯が恋人からの連絡を告げる。
これから来るという文面に目を通し、少しの高揚感と共に彼を待つ。
〜どうせ甘いなら〜
「レンレン起きててくれてありがと〜。」
「おー。」
メールを連勝が受け取ってから間も無く、残夏が連勝の部屋にやってきた。
すたすたと慣れた感じで中に入り、ベッドに座る。
そして連勝にも座るように隣をポンポンと叩いた。
それに従い連勝も腰かける。
「んでどした?何か用事?」
「ふふー、レンレン、誕生日おめでとー☆」
ぱーんと残夏が隠し持っていたクラッカーを鳴らした。
連勝は目をぱちくりさせる。
「あー…そういや今日だっけ?」
「本人がそんなのでどーすんのー。」
クスクスと残夏は笑う。
そんな残夏に一言礼を言い、連勝は残夏を抱き締めた。
「そーいやプレゼントとかねぇの?ケーキとか。」
「んー?レンレンケーキ欲しかったの?」
「んー、残夏の手作りなら食いたい。」
「そっか。でも今日はレンレンがもっと欲しいもの持ってきたよ。」
「マジで?」
なんだろうか、と連勝が残夏を見つめた。
残夏も連勝を見つめ返す。
そして少し挑戦的な笑みをチラつかせた。
その後に今度は少し大きくて長い、滑らかそうな白い布を取り出す。
それを自分の首に軽く巻き、顔の下で綺麗にリボン結びにしてみせた。
「ケーキは無いけどー…。」
残夏は目線だけを連勝に送る。
ぽかんとしている連勝に再度微笑みかけた。
「朝までボクのこと、好きにしていーよ。」
言葉を放ってから数秒後、二人してベッドに倒れ込んだ。
ケーキよりも甘い夜を召し上がれ。
END