小説

□やんわりと包み込む
1ページ/1ページ



朝日で目が覚めた。

横を見ると、まだすやすやと眠る愛しい人。







〜やんわりと包み込む〜







「ん…。」

残夏はゆっくりと目を開けた。

見慣れた自分の部屋が目に入る。

「おはようございます、夏目さん。」

「ん…おはよ、そーたん。」

くるりと寝ている体制を変えれば、先に目を覚ましていたらしい双熾が目に入った。

双熾はちゅっと残夏にキスを落とす。

「体の具合はいかがですか?」

「ちょーっと腰が痛いかな〜?」

「昨夜は羽目を外し過ぎましたね…申し訳ありません。」

「ううん、ヘーキ。」

にこにこと残夏は笑う。

双熾が羽目を外したと言うだけあって、本当はちょっとどころではないのだが。

「まぁ今日は夏目さんはゆっくり寝ていてください。」

「渡狸いるからそうもいかないよ〜。」

「それなら心配はいりませんよ。」

目の前に双熾が居るのに、後ろから双熾の声がした。

きょとんとして振り返ると、やはり後ろにも双熾が居た。

「僕にはこの能力がありますから。凜々蝶様のお世話も、渡狸さんのお世話も、あなたのお世話も、全て完璧にこなさせていただきます。」

後ろに居る双熾が残夏を抱き締め、前に居る双熾が残夏にキスをする。

抱き締めながら擦り寄ってくる双熾の髪の毛が首に当たり、残夏はくすぐったそうにしていた。

「さ、今日はたっぷり甘えてください。」

ちゅっと今度は額にキスを落とす。

「もう…甘えさせてくださいの間違いじゃないの?」

くすりと残夏は笑った。

双熾もそれを見て微笑む。

前後から伝わる体温が心地良いと感じた、朝の日のこと。







END

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ