小説
□やんわりと包み込む
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朝日で目が覚めた。
横を見ると、まだすやすやと眠る愛しい人。
〜やんわりと包み込む〜
「ん…。」
残夏はゆっくりと目を開けた。
見慣れた自分の部屋が目に入る。
「おはようございます、夏目さん。」
「ん…おはよ、そーたん。」
くるりと寝ている体制を変えれば、先に目を覚ましていたらしい双熾が目に入った。
双熾はちゅっと残夏にキスを落とす。
「体の具合はいかがですか?」
「ちょーっと腰が痛いかな〜?」
「昨夜は羽目を外し過ぎましたね…申し訳ありません。」
「ううん、ヘーキ。」
にこにこと残夏は笑う。
双熾が羽目を外したと言うだけあって、本当はちょっとどころではないのだが。
「まぁ今日は夏目さんはゆっくり寝ていてください。」
「渡狸いるからそうもいかないよ〜。」
「それなら心配はいりませんよ。」
目の前に双熾が居るのに、後ろから双熾の声がした。
きょとんとして振り返ると、やはり後ろにも双熾が居た。
「僕にはこの能力がありますから。凜々蝶様のお世話も、渡狸さんのお世話も、あなたのお世話も、全て完璧にこなさせていただきます。」
後ろに居る双熾が残夏を抱き締め、前に居る双熾が残夏にキスをする。
抱き締めながら擦り寄ってくる双熾の髪の毛が首に当たり、残夏はくすぐったそうにしていた。
「さ、今日はたっぷり甘えてください。」
ちゅっと今度は額にキスを落とす。
「もう…甘えさせてくださいの間違いじゃないの?」
くすりと残夏は笑った。
双熾もそれを見て微笑む。
前後から伝わる体温が心地良いと感じた、朝の日のこと。
END