小説
□うさぎ観察
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よくわかんないやつだなって思ってた。
でもあの日から、優しいやつだなって思うようになった。
〜うさぎ観察〜
タイムカプセルの一件から、あいつをよく観察するようになった。
意識して見るとやたらちょこまかと動いてるし、やたら喋る。
今日は日曜日だ。
昼のラウンジにはほぼ全員が集まっていた。
その全員に絡みに行ったりして、忙しくしているあいつ。
でもよくよく観察してみると、凜々蝶のフォローだの渡狸とカルタの関係を取り繕ってたりだの、仲間のことを思いやってんのがわかる。
疲れれんだろーな、あんなん。
「レンレンなぁに〜?そんなに見られてたら照れちゃうよ〜。」
俺に気付いたあいつ…残夏が頭のうさぎ耳を揺らしてこっちにきた。
相変わらず笑顔で、何を考えてるかはやっぱりわかんねぇ。
「おい残夏、ここ座れー。」
「?うん。」
隣の椅子を指差すと、残夏はすとんと座る。
そんでもってその頭を…
「わわっ…レンレンどうしたの〜?」
「んー、なんとなく。」
わしわしっと撫でる。
うさぎ耳のせいで撫でたとこの髪がちょっと乱れた。
「ちょ、あんた何してんの!男同士とかキモいんだけど!」
横でグラビア雑誌読んでた野ばらにちゃちゃ入れられる。
まーでもそんなん気にしてねーけど。
「何かあったらなー、俺に言えよ。」
頭をぽんぽんとしてやる。
残夏は少しぽかんとしていた。
いつも笑ってばっかだから珍しい。
「…ありがと、レンレン。」
ぽつりと小言で礼を言われた。
その後、残夏がふっと、優しげな笑みを浮かべた。
ドキリと胸が鳴ったのがわかる。
綺麗だ。
「あ、ラスカルー!それボクも混ぜてー!」
「うっせぇ!俺はラスカルじゃねぇ!」
見とれたのも束の間。
残夏はバタバタと渡狸の所に言ってしまった。
残夏はもう残ってないのに、俺の胸のドキドキは残ってた。
ますます目が離せなくなりそうだなぁ。
END