小説
□この景色をキミと
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今日はいつもより早く目が覚めた。
なんとなく気が向いたので、屋上に出てみることにした。
朝日が眩しい。
〜この景色をキミと〜
屋上には桜の木がある。
ちらほらと花びらを散らしていて綺麗だった。
「ざーんげー。」
「あ、レンレン。おっはよ〜☆」
見とれていたボクに後ろから声がかかった。
振り返ってみると、レンレンが眠そうに立ってた。
「珍しいね、レンレンがこんな早くに起きてるなんてっ。」
「なんか起きちまった。んでフラフラしてたら残夏見かけて追っかけた。」
ぎゅっとレンレンの腕に抱きつく。
優しく頭を撫でてくれた。
「っくしゅ!」
「あ、寒い?」
「ん…ヘーキ。」
ぶるりと体が震えた。
暖かくなってきたとはいえ、朝はまだ気温が低い。
「平気じゃねぇだろ。戻るぞ。」
ぐいと引っ張られる。
よろけそうになったのを支えてもらって、そのまま中に連れて行かれそうになる。
「待ってよレンレン。」
「んー?」
「もうちょっとだけ見てたいなぁ…桜。」
心配かけるのは申し訳無くて。
少し表情を伺うように下から覗き混んで見る。
パチッと目が合うと、レンレンはバツの悪そうな顔をして頬をかいた。
そして着ていた長袖の上着を脱いで、ボクにかけてくれた。
「それ着とけ。残夏ただでさえ体調崩しやすいし。」
そしてまた頭を撫でてくれる。
優しさに胸がキュンとする。
「ん…ありがと、レンレン♪」
笑い方がいつもと違ってにへっとなったのがわかった。
だって自分でもわかるくらい頬の筋肉が緩んでる。
ヤバい、嬉しい。
「残夏。」
「んー?なぁにー?」
「お前かわいすぎ。」
「うわぁ!?」
ぎゅっと抱き締められて、押し倒される形で芝生に倒れ込む。
レンレンの肩越しに見えた空に桃色がヒラヒラと舞って、すごく綺麗だった。
END