大航海時代4〜ふなのり〜

□マリア世界を巡る〜インド洋編
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 あらいいおとこ……、

 私はウッディーンをみて思わず呟いた。

 私の名前はマリア・ホアメイ・リー。

 中国の海を守る女提督よ。
 西へ航路をすすめようとしたのだけど、ポルトガルの白ブタさんに目をつけられて、今の戦力では無理と判断して一度本土に戻ることにきめたけれど。
 シェン小父のせいでとんでもない航路でインド洋をすっとばした私達。
 いま改めてそのインド洋にきたのだけど、風が凄く気持ちいいの。

 貧乏揺すりしなくとも、満風――。

 こーゆうときこそ、ハンモックで眠りたいものよね…。
 と、善は急げと自室にハンモックをつくったときだった。
「大変です提督!」
 な、な、なにイアン! 襲撃?!
「街が見えましたぁ!」

 ――あ、そ。

「かまってくださいよぉ〜提督!」
 うわっ、なんであまえてくるのよっ、私はねむいのっ!
 イアンを無視してハンモックにのぼったけど、しつこいイアンが私の足を引っ張った。
 安定の悪いハンモックがぐるんと一回転。
 私は――ドシンっと床に落ちてしまった。
 けれど、その下にはイアンが下敷きになっていて……。
 わ、大丈夫イアン!
 私はピク…、とも動かないイアンの白い頬をたたいた。
 もしかして、うちどころ悪かったの、かな?
 改めて、イアンの顔を覗き…あちゃ……、と顔を覆った。
 どうやら、私の肘が少しイアンの鼻にあたったらしく鼻血をふいていた…。

 ……いい顔がだいなしよぉ…。

 私はあわててイアン鼻をフキフキ…していたとき、ジャムがもとからあいている扉を律義にもたたいて声をかけた。
「お〜い…提督お客人……って、お邪魔しました〜! ……へへっ」
 は、は? 「…へへっ」てなんで変な笑い方?
 !
 私はイアンに馬乗りになって鼻を拭いていたことに気付いた。
 はたから見たらきっと意味深なムードだ!
「マリア…」
 そう思っているそばから、イアンの腕が急にのびてきて私の腰にまわしてくる。
 ちょ、ちょっとイアン! わざと、わざとなんでしょ! 腰にまわす手はなしなさいよ!
 はなへし折るわよ!

 バキ!

 ★

「あの、マリアさま…なんで私の鼻骨折してるんですか…?」
 鼻声で答えてくる。
 自分のむねに手を当てて聞いて見なさい。
「マリアさまひとすじ…マリアさまひとすじ…マリアさまひとすじ………」
 鼻に包帯を巻いているのでいまいち間抜けた顔で言われてもあまりときめかない。
 あ〜よかったですね、でところでジャム、私に用事って誰なの?
「んとな、この海域を支配しているウッディーンってやつだよ、おれらと同じように列強阻止をしているんだとさ」
 え…、同じ目的?
 私は興味が湧いてバスラまで船を漕ぎ、彼に会うことにした。
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