大航海時代4〜ふなのり〜

□即興小説〜セラ〜
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女は短剣を薙いだ。
油断していた私はその刃のさけられなかった。
「この女!」
 まて、ゲルハルト! この娘はわれわれを奴隷商人の仲間だと勘違いしたようだ。
 わたしはお前達をすくいにきた……。もうお前は自由だ。
そう優しくさとしても彼女の殺気と怯えはとけない。
「うむ……アフリカ民族とは顔かたちもちがう、かといってイスラム教徒ではなさそうですな」
 まあ、とりあえず。つれて船に戻るぞ。さ、こちらだ。
てぶりで外を示す。
彼女は少し警戒をときつつ、ほかの奴隷たちど私の船に乗船する。
奴隷として売られそうになった人たちをヴェルデの街で解放した。
彼等は私達に感謝の意をしめし、個々の家にかえっていく。
しかし。
 おまえは……。
あの娘だけはいく当てがないのか船の看板にたって、私達を不安げなまなざしでみつめていた。
 どうした? この街に庇護してもらえば、二度と奴隷にうられることはない……。
「……」
まいったな、言葉が通じないか。よし。
私は腰に剥いでいた剣を彼女に渡した。
短剣だけではこころぼそいだろう、これをもっていけ
「提督! そんな危険な者をわたせばまたおそわれますぞ!」
娘は剣をうけとりつつ、ジッと私をみつめた。
そしてきびすをかえす私にかけよった。
「危ない提督!」
彼女は私の命を奪うつもりではないらしい。
剣をわたしにかえすと、おしつける。
それをみて航海士たちはあ安堵のいきをつく。
「提督、私達の船にのせていってあげましょうよ」
マヌエル……しかし…。
「たしかに、言葉も分からぬなら、この子の国をさがすのはたいへんでしょうが、こんな美しいこをねらう獣は奴隷商人だけではございますまい? 提督はか弱き女性をみすてるおつもりなのですかな?」
そ、それは……わかった。身元がわかるまで、私が預かる。
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