遥かなる日々

□ぼけ〜っと……
1ページ/2ページ

■小春日和■




 また今日も屋根の上にいる。

 私は春日望美、何度目かの時空移動を繰り返して納得のいく幸せをみつけるまで時空移動をやめない少女です。

 わたしは今景時さんのお屋敷にお世話になっている。
 今日は九郎さんが頼朝お兄さんのところへいっていて怨霊退治はお休みなのです。

 だから皆おもいおもいの時をすごしている。
 私も日課の素振り練習をして一休みしようと秋晴れ空を見上げたら屋根に、黄金色の髪と紫かかった黒髪を発見。
 そうだ、私も登ってみたい。
 ねー! 先生! 敦盛さ〜ん!
「ああ、神子。どうした?」
 あの、屋根って気持ち良いですか? 私も登ってみたいんですけど!
「ああ、上がってきなさい」
 あがってきなさいって、登り方知りません! そこまでの跳躍力はありませ〜ん(たぶん)
「そうだな、すこしまってろ、神子」
 そういって、敦盛さんが屋根からおりて、一瞬恥ずかしそうに視線をそらして「すまない」と謝り、肩に手を回して私のひざの裏に手を滑り込ませるとタンっ、と跳躍する。
 わ、わ、もう屋根だ!
「眺めはどうだ? まあお前の世界からのなが……ごほん」
 分かってます、先生私を追ってきたことは。
 私はだまってうなずいた。

 でも赴きがありますよね〜。
 瓦屋根もちょうど良い暖かさですし。
 こくこくと、先生と敦盛さん。
 やっぱり無口だなぁ。
 でもこの言葉足りな……もとい、ほのぼのさがいいんだよね。
「神子、敦盛、仰向けに寝るなら腕を貸してやろう」
 え、ええ? いいんですか?
「ああ、いいとも」
 先生は目元を優しく微笑ませてゆっくりと寝そべると腕を広げた。
 あ、いや、その別に寝そべりたいとは……ちょこっと思いますけど、でもでも……っ、そこまでお気持ちを汲んでくれなくても。
 ……………………と言いたいのに、先生に突っ込める雰囲気ではない。ちらっと敦盛さんをみやると彼もすごく困惑顔で私を同じようにうかがっている。同じ心情?
「ん? どうした?」
 あ、いやっ! じゃあえんりょうなく、ね! 敦盛さん!!
「え! あっ! ではあ、甘えさせて」
 敦盛さんが断る予知なくそう告げて(巻き込み)腕をどうにに借りた。私たちは水属性でございます――土属性には勝てません!
 どーしよう? とおもったけど小春日和の心地よさに、もどうでもいいやと、開き直る。
 敦盛さんもそうなのか、となりからは寝息――あきらかに敦盛さんの寝息、が聞こえた。
 あ〜……敦盛さんも大変だものねぇ〜。
 平家で……、唯一仲間で平家の将臣くんは出たり入ったりでさぁ。
 大変、だよね……ごめんね、気苦労かけて……。
 とりとめも無いことを考えて目を閉じた。

 ☆

「おきたか?」
はえ……っ、先生?
 あ、よだれ、すみません! あああ!
 もう夕暮れだし! あ〜日焼けしたかも? ってあれ? 敦盛さんの薄絹が顔にくるしくない程度にかかっていて。
 敦盛さんが?
「あ、その、すまない……迷惑だったか?」
 いえ! 有り難うございます! ってあれ敦盛さん眠ってなかったですか?
「いや、眠った。すこしなつさしい気分だった」
 え?
「ヒノエの親父殿に小さい頃腕枕をしてもらったのだ。あの人は子供好きでなかなか眠れずぐずっていた私を慈父の優しさをもってせっしてくれたから――ああ、逆にヒノエはしかられていた。私ばかりかばってずるいと……」
「よけーなことしゃべってんじゃねーよ、敦盛」
 あ、ヒノエ君。
「いないからさがしたぜ?」
 そういって、美味しそうな柿を私たち三人に渡してウインクした。










次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ