遥かなる日々
□滝つぼでは走らない
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■ツボ■
還内府…将臣くんは遠く視線をはせた。
「もう、一緒にいられねえな……」
そういってきびすを返す将臣くんを私は追おうとしたとき、足下に生えていた苔に足を滑らせた。
――ッ落ちる!
「あぶねえ!」
将臣くんが私を背後から助けてくれた。
「……ったくあぶねえな」
将臣くんの逞しい腕に抱きしめられ、そう耳元で囁くように注意される……とても意識してしまう、とても近くて、とても温かくて。
その抱擁がつよくなる。
…っ将臣くん!
ドキッとした……でもその腕からはなれたくない。
このまま時が止って欲しいともおもった…。
行ってしまわないで。
でも、彼は「じゃあな……」といって
いってそまう…そのとき。
将臣くんも苔ですべった。
あ、あぶない!
「うお! 望美すまねえ!」
さっきの余韻ぶち壊しだけど、仕方がない。
――といいたいけれど。
「きゃあ!」
「やっぱりぃい!」
女の腕じゃ全く身体を支えられないのでした。
二人一緒に滝つぼにおちるとき
「時間よ、と・ま・れ〜〜〜〜〜!」
と叫んだのはHEROSの見過ぎでしょうか。