遥かなる日々

□本当に目が悪い?
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■視力検査■

「僕は目が悪いんです」

 と、弁慶さんは襟首をかきかきつげた。
「じゃあ視力検査をしましょう!」
 私はちょうど広告にまぎれていた視力検査の紙を壁にかけた。
「弁慶さん、片目をかくして、穴が空いているほうを指さしてください――いきますよー」
「右、右、左、斜め、斜め右、上、上右、上、下右、下左……」
「……弁慶さんまったく目が悪くないですよ」
「いやあ、これでもめがわるいんですよ」
「その謙遜、嫌みですよ。ね、譲くん」
「ええ」
「何を言っているンですか眼鏡かけている譲くんこそ嘘ついているようにおもいますよ、正確に遠くの扇を撃ち落とせるんだから」

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