アンジェリークと愉快な恋仲間達
□ピアノ
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■ネコのあし■
エルヴィンが白い鍵盤の上にのって短い曲を奏でた。
「エルヴィンだめよ、ピアノにのっては…」
エルヴィンを抱き上げて叱るアンジェに微笑む。
エルヴィン君は音楽の才があるのかもしれませんね。
「そうかも…しれませんね」
おや、アンジェリークそんなことはないっておもってますね。
「え、どうしてわかったんですか?」
驚く彼女の整った眉を優しくなぜ私はおしえた。
こまったりすると右眉がすこしさがるんですよ。
「え!」
慌てて眉をおさえ、そして頬に片手をあてておろおろとする彼女を見て、悪いと思うものの拳を唇にあてて苦笑する。
「わ、笑うことない…っ」
いえ、あなたが可愛いと思って。
「え?」
……私の発言であなたの頬が赤く色付く。
「そ、それはニクスさんが私をからかうからですよ」
心外ですね、私はからかっていませんよ? ただ…あなたのいろいろな素顔をみてみたいのです。
ニヤー…、とエルヴィンは鳴いてアンジェリークの腕からおりた。
「あ、エルヴィン」
アンジェリークはエルヴィンを追い掛けようとするのを捕まえて抱き寄せた。
逃がしませんよ。
アンジェリークの耳朶にそう囁いてチュ…とキスをする。
とたんアンジェリークの耳が朱色にそまった。
「ニ、ニクスさん!」
私はアンジェリークをことさら強く抱き締める。
愛おしくてたまらない。
たまらなくて……
そう……あなたのすべてが無性に欲しくなる。
蒼天色の髪を優しく梳いて指にからめる。
何度も何度も髪の毛をすいていると、アンジェリークはそっと私の背に手をまわした。
「安心します…こう抱き締めてくれると。私が泣いているとニクスさんと同じように抱き締めて泣き止むまでお父様が頭をなぜてくれたのんです」
私の背の衣をアンジェリークは掴んで顔を私の胸に強く押し付けた。
服ごしに涙が伝わる。
「ごめんなさい…いま凄くお父様をおもいだしてしまって…!」
アンジェリーク。
私はアンジェリークからすこし体をはなして優しく頬に唇を落として涙の雫を一つすくう。
本当は一緒に眠ろうとおもっていたのですが…またの機会ですね。
「ええっ、そのあの!」
ふふ、では一緒にピアノを弾きましょう。 二人の時をあまやかな音を奏でるのもいいでしょう?
アンジェリークを導いて座らせた。
その音色は軽やかで…、これからの私達の生活を予感させる音色。
暗く沈みかけていたのアンジェリークの瞳が輝きをましたのをみやって私は穏やかに微笑んだ。