大航海時代4〜ふなのり〜

□「嵐を超えて東アジア!」
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■遥かなる大航海?■


 やっぱ駄目だね〜、
 鉄船艦に普通の木の船たてるわけないよね、ラムが折れちゃったよ。
「よく考えて海戦やれバカ提督!」
 満身創痍の船員さん、ごめんなさい。
 いやー、しっぱいしっぱい、いつも『どかんといっぱつ』攻撃だったからさ。
「なにいってるんだよー、ほとんど白兵戦じゃない」
 今日は明日の過去、現は――
 架空の傘をもって舞う僕をみてサムウェルは犬歯を見せてクラウにきく。
「ねえ、この提督なぐっていい、」
「かまわねえけど、ユキヒサが邪魔するんじゃないかって、どうしたんだユキヒサ、ほっといきついて?」
「あ、いや、べつになんでもないでござるよ」
「そうそう、いよーに、血色良くなったよね、海戦までは本当に青ざめてたのに、」
 だめだよ、サムウェル、ユキヒサ攻めちゃ。
 でも、本当だよね、僕、ユキヒサの無双技期待してたのに、
 そう、うかがうように視ると、珍しくユキヒサは視線をそらした。
 ――?
 まあいいや、今回僕たちも奮戦して一応勝利おさめたしっ!
「結局はどかんといっぱつってね」
 苦笑してジェナスはいう。
「今度もどかんといっぱつ、ですか?」
 白兵戦! 
 そう高々か、言ったとたんユキヒサがびくん、と肩を震わせた。
 きっとなにかある。
 ちらり、とクラウと視線があう。
 こーゆうときだけ、気が合う僕ら。
 同時ににやり、と笑みを浮かべた。
「ポルトガル人て悪い人だよねー」と密かに聞こえたけど無視をしよう。

 白兵戦、白兵戦はくへいせ〜ん♪

 僕は自ら物見台にのぼり、みわたすかぎりの青い海のただなかに、海賊もしくはクルシマ船をみつけていた。
「おいらのしごとなのに〜、」とエミリオ。
 いーじゃん、今日は休暇をさしあげるよ、娯楽室いって休んでて!
「――おいら、やるきまんまんだよ〜! 白兵戦のときがんばるぞ!」
 あー、今回の白兵戦担当はユキヒサだよ、
「えーユッキー、おいらの反対ですごくきげんわるいぞー?」
 ユッキー、エミリオいつからそんなになかよくなったの?
 あ、クルシマ艦隊みーつけ! エミリオ交替!
 しゅるるる、と嬉々として帆柱から僕は降りる。
「ひどい、けっこう物見台で海戦はこわいんだどー!」
 涙目のエミリオ無視して、ふなのり達に海戦をつげる。
 海戦、みな、戦闘態勢にはいれ!
 船を接近させて白兵戦!
 こんなときだけ、提督っぽい僕。
 アイサー、の呼び声が船艦に鳴り響く。
「ユキヒサ、援護はまかせろな!」
「クラウどの〜」
「期待してますね、ユキヒサ」
 海戦の準備に忙しい船上にただひとり震えて立ちつくしているユキヒサ。
「せ、拙者は、拙者は……」
 ユキヒサ、
「お、お館さま」
 きっと初めての船の戦いでドキドキしているんだろう、きっとユキヒサの震えは、世にきく『武者震え』、なまでみちゃったよ!
 僕はおゆきちゃんにならった日本語の「ファイト」をユキヒサにつげる。

 ――是非もなし! 

「お、お館さま……、」
 とたん、ユキヒサはだーと、涙をこぼした。
「意味わかんないし、使い方違うし……」と日本語でいう。
 そんなに感動したのかな?
 とにかくなんだかんだで、白兵戦開始。
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