□くだらない話
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図書室をうろついていたら面白そうな本があった。でもそれは少し高いところにあって、私の身長では背伸びしても届かないところだった。

脚立とか持ってくるのめんどくさいし、明日にでもジャンを連れて取ってもらおうとしたら、横から私が読みたかった面白そうな本を手に取られた。横取りだ。

私が読みたかったのに。そう思ってその人を見上げると、その人…彼は優しい笑みで私にその本を渡してくれた。

彼は私のために本を取ってくれたんだ。


『これは運命…私はそう思った。』

「…おぉ。…で、まだ続くのかよこれ。つかその彼ってやつ誰だ?背ぇ高そうだしベルトルトとかそこらか?つか何で俺を連れていこうとしたんだよ」


太陽の光が眩しくて、しっかりと彼の顔が確認できなかった。


「いや図書室に太陽の光なんか…あるっちゃあるけど眩しくて見えないほどの光は差し込まねぇぞ。お前この話ちょっと盛ってんだろ」


私は本に目を移し、ふふっと静かに笑う。そしてまた彼に向き直ると、先程まで高かった彼の背はいつの間にか小さくなっていて、とてもこの本があった場所に手が届くのには難しい身長だった。
どうなっているのかわからなかった。

けど彼は私のことなんかよそに、じゃあねと告げ図書室を出ていった。

印象的なのは彼のキレイな金髪と…


「…あんだよ?」


脇に抱えていた小さな脚立だった。


「……は?」

『つまりのところアルミンだった』

「……………」


ジャンは口をポカンと開け、眉間に皺を寄せている。
馬面がプスークスクスよけいにひどいことになってるよプスークスクス。


「………で?」

『……………ん?』

「………だから、どうした?」

『……え?…どうもしないよ?ただアルミンが本を取ってくれたんだよって事を伝えたかっただけ』

「……だけ…?」

『……だけ』

「………運命ってーのは…?」

『…その本が私の手にわたったこと。読みたかった本が今私の手にあるのって運命じゃない?』

「いや意味わかんねぇし」

『アルミンが私のためにわざわざ脚立を持ってきて取ってくれたんだよ!』

「お、おう」

『あの優しさは使えるかもしれない』

「最低だなお前」








*end
くっだらねぇ…!


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