□青峰生誕祭
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8月31日、今日は



『でね、あ、お、みね、くん!』


「......」




好きな彼...青峰くんの




『あっ、あの、』


「......」




誕生日でs

『ごめんなさああああああい!!』


「はぁ!?」











***













『はぁ〜...』




ダメだった...





今日、8月31日は青峰くんの誕生日

"キセキの世代"の一人。
バスケが上手くてピュアな一面を持ちながらも、端からみればそこらのガラ悪ヤンキー。

でもそんな青峰くんが、好き




あの時、青峰くんに落ちていたんだ


...今思えば、あれは恋だったんだな――






















授業がめんどくさくて、サボりたくて屋上で寝転がって空を眺めてた。

すると後から彼が来て


((あんだよ、誰かいんのか))


と言ってきた。


その時、世界観とかでいつも遠くからでしか見れなかった彼に興奮して


((一緒に寝ませんか!?))


とか口走ってしまった。

あれは恋愛対象とかじゃなくて、あの有名な"キセキの世代"、しかもエースの彼と近付けるんだ!、という興奮だった。

口走ったとき、彼はものすごい目でガンつけてきて、あぁ、怒られるなって思った。


けど彼は((別にどっちでも、寝れりゃいいわ))とOKのような違うような返答をした。




そして一緒に横になって空を眺める

隣にいる彼をチラッと見ると、もう寝ていた


少しがっかりしたけど、そもそも彼は寝るためにここに来たのだ

ちょっとお喋りしたかったけど、まぁ仕方ない。



....しかし、まぁ近くで見ると彼はとてもイケメンだった。

横顔からだけどよくわかる。

睫毛が長く整った鼻と口、細い眉


上半身だけ起き上がり顔を覗き込めば、横顔とは比べられないほどのイケメンだ。

いつもあんなダルそうな顔やガラ悪顔だけど、寝てるときはキリッとしてるんだなぁって思った。


髪に触れると想像通りの素質でクスッと笑ってしまう

頬を触るとまぁ固くまたクスッと笑う

自分の指の色と、彼の肌の色の違いに再びクスッと。


((...何してんだよ))


はっ、と彼を見ると目を開けてこちらを見ていた。いや、睨んでいた


正直死んだと思った


((いや、あにょ、かっ、かっこいいなぁ、なん、なんて...))


本音を言ってしまえば、可愛い、だ。
イケメンだけど可愛かった

そう言えば屋上から落とされるに違いない


彼から離れようとすると腕を、掴まれた。


ビックリした。
そりゃもう。死ぬ覚悟で


けど彼は、怒ったり殺したりせず、不思議そうな顔で私を見てきた。今度は、睨んでいない


((な、なん、です?))



((――お前、俺が怖くねぇの?))



そう、聞いてきた。


((えっ?))


何を言っているのかわからなくて。

怖い? 彼が?


そんなわけない



((あー、いや、俺目付き悪ぃし、女子からは嫌われてっぽいしよ))


((なん、で))


((知らねぇよ。あれだろ、ガラが悪ぃだエロいだなんだ、まぁお前もあんま俺と関わんねぇほうがいいぜ?))


((......っ))


((んじゃもっかい寝っから。次は起こすんじゃねぇぞ))



――そんなわけない。



((.....って..))


((...んあ?))



ガラが悪い? エロい?

それが彼じゃない



((...私知ってるよ?アナタ本当は優しい人なんだって。))


((いや、優しくねぇよ?))




女子から嫌われてる?

私はあいつらとは違うの。




((私はアナタが嫌いじゃない!))


((は!?))



"キセキの世代"、エース

イケメン、ピュア、優しい


嫌いなわけがない。


((..っ..むしろアナタが好きです!))


((!?))



そう言ったとき、何かに気付いた


私は嫌いじゃない、有名な"キセキの世代"のエースだから、イケメンだから優しいからピュアだから。



−好き−



そう、そういう憧れの好き。

でもなんか、違う...


前ぶりとか、私が発した言葉は....?



考え出したら顔が熱くなった


((あ、の、いやっ....そのっ...))


((.......))



これは、私が発した言葉はっ...

好きは....



彼は目を見開きながらも、頬が、耳が少し赤くなっている...

ピュアだ!ピュアになった!




((そうか、お前、俺のこと――))

((ち、違う違う!違うの!あれ!?いや、うん!きっ、きゃああああああ!))




叫んで屋上を出た

少し降りた階段でうずくまる


あれは、もう――




((....告白...))






















その日から、私は...否、私達は相手を見かけるたびギクシャク


おいピュア峰、ガラ悪峰はどこいった状態



それでも、青峰くんが練習に出ている貴重な日は、欠かさず体育館の扉でそっと覗く



そんな日々を毎日送っていた





そして、8月31日。

青峰くんの生まれた日



当然ながら今は夏休み真っ只中


同じクラスの桜井くんから、

「青峰さんが練習来ています。忙しいのにメール送ってすいません!」

というメールを貰った。


そう!私は夏休み前、桜井くんに『青峰くんが練習に来たら私にメールで教えてくれる?』っと、言ったのだ!


そして自分の誕生日の日に練習に行くという、奇跡!


私は、この日を待っていたのだ


この日、やらなければと決心していた



そして、着替えて学校に向かい、いつものように体育館の扉から覗く。



練習がおわったと同時に私は青峰くんにメールをした


『用があるから屋上に来て』と。




しばらく待っていると、お望み通り青峰くんがやって来た

どきどきしてきた



『...あっ!たん、誕生日おめでとう!』


「...おう..」



おい。練習中のガラ悪峰はどこだって

ピュア峰になんなって




でも、ここからが本題なのだ


私はあの日から青峰くんに惚れている

青峰大輝という彼そのものに。



キセキとか関係無い。


告白する。


ちゃんとした告白を。











と、そして冒頭に戻るのだ。





言えない。言えなかった。

あの時のように叫んで屋上を出てしまった



ホント...ダメだなぁ。
強そうな自分もどこいった


また少し降りた階段でうずくまる。





『...青峰くん....好きだよー』


ボソッ、と呟く


『青峰くん....付き合いたいよー』


ひとつ


『青峰くん....イケメンだよー』


またひとつ


『青峰くん....大好きだよー』


誰にも聞かれないこの言葉は


『青峰くん....ピュアだよー』


階段で静かに木霊する


『青峰くん....おめでとー』


そして


『青峰くん....寝顔可愛いよー』


消える。


『青峰くん....大輝....くん、』





なんで、こんな簡単なことが青峰くんの前じゃ言えないのかな



『ふっ、うくっ....』



くっそー、涙が出てきた

情けないなぁもう!


『ひっ....ぅ...』


だめだ!泣くな、797!リベンジだ!

もう一度、言いに行く!


『っ、....っく...』


心を落ち着かせる

涙を拭く




『っ......っよし!』


ペチ、と軽く両の頬を叩く。

勢いよく立ち上がり屋上を目指す



















『ぎゃあああああああああああああああああああああああああ!!!!!!あ、青峰くん!!!!!!?』


「...おぉ...青峰くんデス..」


『なんでここに!!?ていうか...!ま、まさか!!!!!?』




屋上を目指し、くるっと回転したら後ろに青峰くんが立ってた


いつから?いつからいた??



それより...




「....俺は可愛くねぇかんな」




そんな前からいたんかい!!

死んだ うん 死んだ



もう、もう、ダメだわ



『...は、ハハハ...はぁあぁぁ』


「なんだよそのでけぇ溜め息は!こっちがはきてぇよ!」



なにを言っているのよそこの青年

君はまだ溜め息をはく年頃じゃないのよ



「つか、そーいうの...ちゃんと本人の前で言えって」



『えっ?なん――』




何で?、そう問うつもりだった

その言葉は、





青峰くんによって、











青峰くんの唇によって封じられた





「誰も断ったりしねぇよ、名前のことなんか」


『――――っ!』



何で?何で?何で?


何で.....私の名前知ってるの?



それより、



き、すって....こと、は....

断ったりしないって....



『あお、みねくん....』


「...俺も、好きだ。


...はーあー。どーやらあん時、お前に惚れたみてぇ。一目惚れってやつだなー。不思議だよな、名前も性格も知らねぇ奴の事、好きにな――」




((ぎゅぅーっ))




力一杯抱き締める



「なっ、ちょっ、苦しいだろバカ!」


『大好き!青峰くん!大好きだよ青峰くん!』



「わ、わかっグフッ」



力一杯抱き締める




『私青峰くんのことたくさん知りたい!中学の話、好きな食べ物、好きな曲、好きなブランド、たっくさん教えてね!』



「ちょ、げはっ!」



力一杯抱き締める




『あ、改めて誕生日おめでとう青峰くん!それと今日、記念日が増えたね!私達二人の記念日が!生まれてきてくれてありがとう!あの時、屋上に来てくれてありがとう!』



「ぐふぉっ!」



力一杯抱き締める




『これからよろしくね!』






青峰くんは










返事がないただの屍ようだ




『まぁいいやっ!』



再び私は、青峰くんを力一杯抱き締めた。
















((名前?ですか))

((おう、同じクラスなんだろ?))

((はい、すいません))

((いや謝んなよ))

((えっと...名前は...))

*end


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