□花火大会
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今日は花火大会。


近くの神社で屋台が出ているので、まずは食べ物やらなんやら食べたり遊んだりしてから花火を見ようと言うことになった。



そんな私の横にいるのは日向くん。


男子バスケ部の主将やってるの
クラッチシューターとして有名なんだ。


日向くんが決めるスリーはどこぞのツンデレメガネよりかっこよくて、主将としてメンバーをまとめる姿もどこぞの腹黒メガネよりかっこいいの。


そんなかっこいい、憧れの彼と一緒に花火大会に行けたことが何より嬉しい




けど...








...実は今日、本当はバスケ部メンバーで行くつもりだったんだけど、日向くんに対する私の気持ちを知っている皆が「急用で行けなくなったぉ∀」...と言い訳を使い、二人きりにさせられてしまった...んです。





ん?あれ?いつから私と日向くんがカレカノだと錯覚していた?m9(^Д^)プギャ



違うんです、私のたんなる片想いです。





二人きりにさせられても困るんです


何を話せばいいのかわからないし


つか緊張して日向くん見れないし



それに





「―――んでよ〜....って、苗字?聞いてんのか?」


『へっ!?う、うん!聞いてるよ!リコちゃんの下着は純白のしr』


「いやいやいや!!誰もんな話してねぇよ!?つか知りたくねぇわ!!」


『あ、ごめっ......』




こんな隣でこのイケボ....!

今にも倒れそうなんですけど...






日向くんが不思議そうに私を見てくるけど私は今それどころではないのよ。




「具合、悪いのか?...人混みすぎて酔ったとか?」


『いやぁ!そんなことないよ!元気だよ!』



「そ...そうか...?」






またもや不思議そうに見てくる。


日向くんごめん、
そんなかっこいい顔でこっち見ないで。












私の真っ赤な顔を日向くんに見られないよう、俯きながら歩いていた。













『(...あ、甘い匂い...)』









ふと息を吸ったとき、どこからか甘い匂いがしてきた。おそらく、わたあめか何かだろう。







食べたいな、そう思って少しは熱が冷めたであろう顔を上げると、


















そこに日向くんの姿は無くて



















日向くんの背中だと思ってついてった人は全くの別人だったわけで














『...ひゅ...が....くん...?』











――どうしよう。







そう思ったときはもう遅くて。


ただ、知らない人がすれ違う。



どれだけ見渡しても彼の姿は見付からず





ただただ、呆然と立ち尽くすことしかできなかった。













『...あっ、そうだ、携帯...』




って思って携帯を取り出せば、


後ろからくる人にぶつかってしまい、運悪く携帯を落としてしまった。







拾おうにも、あまりの人混みで携帯まで辿り着けない。




―――最悪。












『...どうしよ...。日向くん...、どこ...ひゅうが.....くん...』





はぐれてしまった悲しさと、一人でいる怖さが混じりあって、泣きそうなのを必死に堪えて、震えた声で彼を呼ぶ。



ふと落ちている携帯を見ると、何やらリズムよく光っている。





多分あれは着信の時の光りだ。





つまりあれは着信。


多分...日向くんからの。







...でも出れない。出たいのに。





着信...消えないで、待って。





どこなの...日向くん...。









『...ウゥッ....ひゅ....がくんの...ヒック...だあほぉ....ッグ...』









....消えないでよ...






日向くんの....





「誰がだあほだ!ばかやろー!」


『っ!?』







グッと肩を掴まれ振り返ると、


そこには




『...ひゅ.....が...くん....?』



「ったく!俺の声に気付かずスタスタ行っちゃうしよ!ビックリすんだろーが!つかビックリしたわ!」





『...ふ......うぐっ....』






待ってたよ?何処行ってたの?

私だってビックリしたんだよ?

怖かったよ。






そう、言ってやろうかと思った。


けど言えなかった。





涙は止まらないわ、しゃくるわで、言葉が上手く出せなかったから。





「っ...あーもう!なっ、泣くなよ!俺が泣かしたみてぇじゃねぇか!」




....違うよ、




泣かした"みたい"じゃないよ...?





『お前が泣かしたんだよ』



「いや何開き直ってんだよ。さっきまでのしゃくりどうした。涙はどうした。」






『...ふっ、へへ...』




「....だぁぁぁ!!くそっ!....つかよ!携帯!何ででねぇんだよ!」






『あぁ...後ろから来た人にぶつかっちゃって....落としちゃったの...あそこに...』





携帯が落ちている場所を指差すと、「ほぉ...」と彼が呟いた。



その後、「後ろから来た人に...か...」と、こわい顔をしながら呟いていたけど、まぁ気のせいだろう!





「危なっかしい奴だな、苗字って」


『う...うるさい...』




「....ん。」






そう言った日向くんは、余所を見ながら



手を差し伸べてきた。





「手。繋いでやるから。」





早くしろダアホが。そう言って、また、手をぷらぷらさせる。



そんな彼の顔は、



少し赤く見えた。








『...ありがと...』







きゃああああああああ!!!!
ぬくいよ!日向くんの手ェぬくいよ!
あぁやっぱ男の子だなぁ。手ェ固いなぁ。
好きな人の手ですよ!繋いでますよ!
エンダーー!イヤーーー!



って思いながら、

私たちは二度、屋台を巡り始めた。





その後の花火は


今までで一番輝いていて、




とても美しかった。














知ってますか?











これでもまだ、


















私たちつきあってないんですよ?(^∀^)









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