★FF零式〈短編〉★

□君を呼ぶ為の名前
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 マキナは、暇さえあればチョコボ牧場へ足を運んでいた。
 昨日はチョコボの誕生に立ち会えた。今日は昨日誕生したチョコボ達に名前を付けるために牧場へ向かった。
 エントランスから魔法陣で牧場へ。マキナがチョコボの雛の元へ行くと、朱いマントの先客がいた。
「エース、君も来てたのか」
「あぁ、雛チョコボが生まれたって聞いたから見に来たんだ」
「そうか。実は俺、チョコボ達に名前をつけてやろうと思って来たんだ。一緒に付けないか?」
「名前、か。そうだな、名前は必要だな。」
「あ、この一番元気のいいやつは昨日のうちに考えて置いたんだ」
 そう言って、マキナは元気よくピチピチと鳴く雛チョコボを指差した。
「何て名前だ?」
 エースが聞くと、マキナはよくぞ聞いてくれたと言わんばかりの表情で答えた。
「ピピロだ」
 若干、エースは不意を喰らった。それは、あまりにも…
「……ピピロ…随分と変わった名前だな」
「?」
 よく聞こえなかったのか、マキナは自信なさげに首を傾げる。
「いや、いいんじゃないか?」
 エースがそう言い直すと、
「そうか?良かったな、ピピロ!」
 マキナに笑顔が戻る。
 彼は、次のチョコボに目を付けて、今度はそっと雛チョコボを持ち上げた。
「エース、このチョコボに付ける名前は何にする?」
 オスのチョコボだ。
「そうだな、この中で将来一番毛並みが綺麗になりそうだな。星の名前からで…。シリウスなんてどうだ?」


 雛チョコボは、全部で15匹いた。エースとマキナは、交互に名付けていき、とうとう最後の一匹となった。
「こいつ、この中で一番デカいな」
 最後の一匹を、マキナは優しく手で包む。
「マキナ、決まったか?」
 エースが問う。
「……あぁ、コイツの名前は…」




「チチリ」


「そうか、いい名前だ」
 ふと、エースがマキナの顔を見ると彼は戸惑ったような顔をしていた。
「マキナ、どうかしたか?」
「いや、何だかとても懐かしい感じがするんだ。…チチリって名前。何なんだろうな」

end
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