頂き物《小説》
□NO.46848
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「銀時、戦の時間だぞ」
長髪の男が、壁に寄りかかって眠っている銀髪の男、銀時に言った。
だが、熟睡しているのか、一向に起きる気配はない。
長髪の男は諦めない。
拳を作ると、容赦なく銀時の頭に落とす。
すると、銀時はうっすらと目を開けた。
痛みで目を覚ましたというより、殴られた衝撃で目を覚ましたという感じだ。
まぁ、そうなのである。
白夜叉は、痛覚がなかった。
元々、体の限界を知らせるための痛覚である。
限界のない白夜叉は、教えることができなかった。
だが、疑似的ではあるが斬られたりしたら血が流れるし、
心臓などの臓器もある。
人間の急所をやられたら機能が停止するようにしていた。
「あぁ、おはよう・・・ヅラ」
「ヅラじゃない桂だ」
銀時と長髪の男、桂は何時ものやり取りをした後、
「もうそんな時間か」
そう言って、銀時は自分の隣に置いてあった刀を取る。
皮肉なことに、兵器として使おうとしていた幕府の思い通りになっていた。
銀時は今、攘夷戦争に参加している。
銀時を中から見ている白夜叉は止めようとはしなかった。
それが銀時の意思ならばと銀時の好きにさせていた。
その前に、銀時は兵器として戦争に出ているのではない。
仲間を護るために戦争に参加している。
ただ、1つだけ白夜叉が手を出していることがある。
それは、銀時の異名だ。
その男
銀色の髪に血を浴び
戦場を駆る姿はまさしく
『夜叉』
敵はおろか、味方からも恐れられている武神。
『白夜叉』
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