【銀色小話】

□俺が必ず
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『退学者 三年 坂田銀時』



掲示板に貼られたその『お知らせ』。
それを不機嫌そうな表情で見つめる、一人の男子生徒。


(ちょっと喧嘩しただけじゃねぇか)


重力に逆らって跳ねまくっている銀色の髪。
細められている紅い瞳。
ついに退学となってしまった男、坂田銀時その人である。


くるっ、と後ろを振り返るとチラチラこちらを見ていた生徒達が一瞬でヒュッ、と隠れる。
それを更に眉間にシワを寄せて見て、教室に入り鞄を取る。
その間、教室内は緊張の糸が張り詰められ、息が詰まることこの上ない。
そのまま銀時は何も言わず、教室を出て扉を閉めた。
その瞬間、ワッ、と教室が騒がしくなる。

良かった、だの。
怖かった、だの。
ザマーミロ、だの。

その銀時の退学を喜ぶ声を最後に──学校を、あとにした。







☆☆



「おや、お帰り。早かったですね」


帰宅すると、淡い髪色をした優しげな顔の男が出迎えた。
銀時を救った銀時の昔の先生であり今は養父である、吉田松陽である。
銀時は玄関を閉めて下を向いた。



「銀時?」
「……退学に、なった」
「それは良かった」
「……は?」



てっきり怒られるか、呆れられると思っていた銀時。
養父のまさかの言葉に、銀時は顔を上げて目を丸くした。
松陽はにこにこしている。



「良かった…って、何で」
「だって校長とか担任とか、銀時の話全く聞いてくれなかったじゃないですか。そんな所に私が愛する息子をやるとでも?」
「いや、やるとでも? って…」
「それに退学なんて言い渡されなくても、こちらから退学してやるつもりでしたから。ほら」



そう言って見せてきたのは『退学届』。
銀時はポカンと口を開けて、プッ、と小さく吹き出した。


「流石、先生。──ありがと、な」
「いえいえ。それで、新しい学校もう決めちゃいました」
「え、俺働くつもりだったんだけど…」
「駄目です。銀時にはきちんと学んでほしいんです。……前は最後まで教えてあげられませんでしたから」
「ん?」



哀しげで、悔しそうな表情で何かを言った松陽に銀時は首を傾げる。
しかし松陽はハッとして、いつものように笑った。


「何でもありませんよ。それでですね、次の学校っていうのが『銀魂高校』という所で…」
「『銀魂高校』?」




学校名を繰り返す息子につい頬が緩む。








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