【夜桜日記】
□第一章
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☆☆
「──さて、読ませてもらいやしょうかねィ」
真撰組屯所に戻った沖田。
報告書諸々を山崎に押し付け、自室に戻って机の前に座った。
そして沖田が胸元から出したのは、『呪いの書』。
本来ならば今回の御用改めの資料として、真撰組──この場合土方に提出しなければならない。
しかし。
「こんな面白そうなモン、あんないけ好かねェ野郎にやる気は全くねェや」
つまらなかったり、本当に呪いの書だった時に、からかいのネタとして提出すれば良い。
どっちにしても、面白い。
それにこれを読めば、夕月の瞳の奥のあの激情の意味が分かる気がするのだ。
沖田は表紙を開く。
あの呪い文句を華麗にスルー。
そして次の頁を開く。
「ありゃ?」
予想外に白紙だった。
次も、その次の頁も。
何枚か捲っていく。
しかし十数頁白紙だ。
「何か仕掛でもあんのかねィ…」
あぶり出しとか。
そう思いながらさらに捲っていくと。
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私はこれから、あの方への許せざる気持ちを綴っていきたいと思う。
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流麗な字で、そう書いてあった。
大体二十頁ぐらいの白紙の末に。
そんなに警戒するものなのか。
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