【夜桜日記】

□プロローグ
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星の瞬きが薄れてきた夜。
そんな夜空の下、慌ただしく人が出入りする宿屋があった。
出入りしている人間達は黒服を着ている。
ある一室で、一人の黒服が走り寄ってきた。



「沖田隊長、攘夷浪士を護送車に運ぶ作業、順調みたいです」



隊士の一人が色素の薄い髪色の青年に背筋を伸ばして報告する。
その報告に頷きを返す真撰組一番隊隊長、沖田総悟。


御用改めが終わったのだ。


【雪華党】



穏健派集団で、目立ったことはしていない。
しかし攘夷と名の付く活動をしている者は、今や皆捕縛対象。
山崎の手腕で会合場所を突き止め、一番隊と山崎のみで御用改めに当たったわけだ。





党首の名は【桜 夕月】




風流な名前に負けず劣らず、穏やかで理知的な美男子だった。
だが、その穏やかな瞳の奥に、何か激しい感情が揺らめいていた。
対峙した沖田にはそれが分かった。
その男に、目の前の男に、興味を持った。
だから党首だったが、殺さずに気絶させるだけにした。




報告をしてきた隊士は周りの地に伏している浪士達をを見て苦笑した。



「それにしても、凄い顔ぶれですよねぇ。最近台頭してきた佐伯 野理介に、城ヶ崎 桃次。他にも…こんな奴らがどうして穏健派の雪華党にいるんでしょうか」
「ザキの話じゃあ、こいつらは最近入ったって話だけどねィ」
「運が悪かったですね。入ったそばから会合場所がバレるなんて。あ、俺他の奴らの手伝いして来ます」


ぺこっ、と頭を下げて隊士はその場を離れた。




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