【銀色の花】

□第二章
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コチコチコチコチ……


無機質な時を刻む音が静寂な空間に唯一響いていた。
あの長谷川の話からすぐに万事屋に戻ってきた銀時たち。
もともと依頼探しのために外に出た新八だったが、早々と帰ってきた銀時に何も言わなかった。
帰ってきてからというもの、銀時はぼーっと外を眺めているし、神楽は不安を隠すように定春にくっついているし、新八はお通の曲でも聴いて気を紛らわそうとしていたのだが、いつものノリノリな気分にならない。
お通親衛隊隊長としてあるまじき感情だ。
もう我慢出来なくなったのか、新八は耳からイヤホンを取って、この沈黙を破った。


「あの……どうするんですか? 銀さん…」


すると銀時は社長椅子に座って外を眺めたまま。


「なにが? あ、ジャ○プ? そういや買うの忘れてたな。何、買ってきてあげますよ的な? じゃあ頼むわ、新八クン〜」


ばさばさと、真っ二つになったジャ○プを振っていつもの口調で言う銀時。
しかし、新八が返す前に神楽は定春に抱きついたまま口を開いた。


「ごまかすのは止めるヨロシ。マダオの言ってた話がホントなら……誰かが銀ちゃんを捜してるってことアル」


神楽が本題に真っ直線に本題に入った。
新八は心の中で感謝しながらそれに乗る。


「…確実に良い目的じゃないですよ」


伝説の攘夷志士である白夜叉を、捜しているのだから。
銀時ははぁ〜…、と息を吐いて、くるりと椅子をこちらに向けた。


「別に気にしねぇで良いって。たかが噂だぜ? このかぶき町の。すぐに消えんだろ」


本人はてんで気にしていない。
新八と神楽は困惑したように顔を見合わせた。
本人がそう言うのならこれ以上話しても無駄だろう。
でも、それで割り切れるほど希薄な関係ではないのだ。


ジリリリン
 ジリリリン


黒電話が突然鳴り出した。
銀時は、うわ、珍しっ、と言いながら受話器を取る。


「は〜い、万事屋銀ちゃんで〜す。…なんだ、アンタか。また店の手伝いか? ……今から? …あぁ、分かった。依頼料はずめよ」


一通り話が終わったのか、銀時は受話器を置いた。


「おめーら、仕事だ。やっと白ご飯から抜け出せるぞ〜」
「誰からだったんです?」


すると銀時は立ち上がって頭をかいた。


「西郷」



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