頂き物《小説》

□すずらん
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鈴蘭の花言葉

それは…





銀時は松陽先生と桂・高杉である場所に行っていた

そこには

桂「うわぁ、凄い綺麗な鈴蘭。」

高「ってか、多くないか?」

鈴蘭畑だった

あたり一面鈴蘭の花が咲き誇っている

それは夏の銀世界を幻想している

雪のようだ

松「綺麗ですね。銀時」

松陽は自分の服にしがみ付きながらも

不思議なものを見るような目をしている銀時に声をかけた

銀「うん。また、みんなで見に行こうよな。」

銀時にとって初めてみる花

銀時にとって初めての約束

それが『鈴蘭』だ

松「そういえば、鈴蘭の花言葉を知っていますか?鈴蘭の花言葉は…」





日差しが差し込んできた

その眩しさに耐えられず、銀時の眼が覚めた

昔の夢を見た

しかし、そんなことに興味は持てない

今は攘夷戦争

花に興味がないどころか、何にも興味が持てなかった

なにしろ、松陽の首が返された今だと絶望しか感じられない

塾の仲間はあと二人だけになり

坂本は宇宙に旅立ってしまい

残された最後の仲間は完全に狂っていて戦うことだけしか頭にない

あの二人を狂気から覚まして上げたい

けど、自分も狂っているんじゃないのか

銀時は止めることができなかった

銀時は伸びをした

一瞬、視界が真っ暗になる

すると身体の奥から何かが吐き出そうになった

銀「っげほ!げほ!」

突然咳が止まらなくなる

続けて咳をするだけで体力が消費されていく

それに気持ち悪い

最終的床に倒れこんでしまう

それでも咳は止まらない

何かが逆流してくる

銀時は胃の中の物を全部吐き切るつもりだった

だが…

銀「って…なに、これ…なんで?」

血が…

怪我をしていないのに

口から血があふれていく

誰かの喋り声が聞こえる

銀時は走って攘夷志士のアジトから逃げ出した



桂「誰だ。咳をしているのは……!?」

高「おい、どうした。づ……」

二人が最初に眼にしたものは真っ赤なもの

その紅い液体は自分たちが良く知っている匂い

すると二人は銀時が心配になってきた

此処のところ銀時の様子がおかしい

そのことには気づいていた

食事や甘味に手をつけなかったり

顔が青白くなっていたり

寝るときに魘されていたり

気づいていたのに声の一つもかけられなかった

二人は今までの自分の行動を悔やんだ

その後彼らは血眼になり銀時を探したが見つからず

結局別々の道を歩んでしまった





銀「はぁはぁ…くそ…。」

銀時はアジトから離れて逃げ隠れていた

攘夷志士の大量粛清が始まっているのもあるが身体が自由に動かないのもある

銀時はまた咳き込む

そして血がまた

耐えられなくなった銀時は眼を閉じた




『っぴっぴっぴ』

規則正しい電子音が耳に届く

そして柔らかい何かに寝ている

眼が開けられない

けど、身体がとても楽に感じた

誰かの喋り声が聞こえた

天人「おい、これが本当にあの白夜叉か?伸びていた奴が…」

人間「はい、間違いございません。戦争兵器に利用することも可能ですよ。」

天人「…わかった。よし、買おう。して、いくらだ?」

人間「まいど〜。えーっと……あ、こらァ!」

銀時は二人の会話が聞こえて逃げ出した

きっとさっきの奴等が売り物にするために病気を治してくれたのだろう

身体が楽になった

銀時は追ってくる天人と人間から逃れるために精一杯走った



どのくらい走ったのだろうか

やつらは追ってこなかった

着いた先は墓地だった

雪が降っている

今気づいたがかなり長い間にわたって眠っていたのだろう

久々に身体を動かした気分だ

そして空腹がする

その上、凍えるように寒い

銀時は飢えと空腹で近くの墓石にもたれかかった

銀「こんなところで…死ぬのか?俺は、」

なさけねぇと鼻で笑う

すると足音が聞こえる

足音は墓石に近づいてきた

そして何かを置く音

チラッとみたら饅頭だった

銀「おい、それ…饅頭か?食って良いか?腹減って死にそうなんだ。」

銀時が力を振り絞り声を出す

老婆の声がこだまして返ってきた

その日から銀時はその老婆の元で暮らし

二人の家族のようなものを手に入れた






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