頂き物《小説》

□NO.46848
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およそ20年もの間、攘夷戦争というものをやっていた。

幕府が廃刀令を出したことによって、侍の敗戦だった。

だが、幕府もただ負けを認めたわけではなかった。

勝利するためにある技術を生んだ。

それは、『人造人間』

機械とも違う、兵器。

幕府は何万もの人造人間を造ったが、成功したのは一機だけ。

NO.46848

人間と区別がつくよう銀髪と紅目のこの人造人間は完璧のはずだった。

だが、兵器としては不完全だった。

製造ナンバーから白夜叉と呼ばれていたその人造人間は、

夜叉と呼ばれるには、優しすぎた。

爆発的な力を持ってはいるが、それを発揮することを嫌がった。

完璧に造りすぎたゆえに、白夜叉は感情を持ってしまっていた。









兵器として役に立たないのなら、
とその人造人間はプログラムを破壊して捨てられたが、

幕府の人間は知らなかった。

幕府が考えている以上に強力な防衛本能がついていた白夜叉は、
再起動プログラムを破壊されないスペースに避難させていたことを。

そして、人間として生きられるようにもう1つの人格をつくりだした。

その際に白夜叉は自分が知っているすべての感情を人間として生きる人格に教え、
人造人間であることと、白夜叉である自分と、
白夜叉と呼ばれていることは忘れさせた。

最後に、相手を油断させるという目的で子供の姿だったので、
時間が来たら成長できるようにプログラムした。

作業ををやり終えた白夜叉は一旦眠った。






1つだけ、白夜叉はあえてしなかったことがあった。

それは、人間として生きる人格に名前を与えること。










***

気が付いたら、そこにいた。

という感じだった。

少年は気が付いたら、屍の山の中にいた。

ちなみに、こんなところにいるのは白夜叉の判断である。

白夜叉は人間として生きる人格に、食べるという行為も教えた。

もちろん、食べなくても半永久的に生きることは出来る。

だが、それでは人間ではない。

白夜叉は人間として生きてほしかったので、食べるという行為を教えたのだ。

そして今は戦争中である。

人間が見ず知らずの少年に食料をくれるかわからない。

ならばこの際屍が持っている食料で、と思ったのだ。

なので、少年は当然のように屍から食料を探し始める。







少年が屍の中で暮らし始め、不名誉なことに、
『屍を食らう鬼』と呼ばれるようになってしまって、

その呼び名にも慣れた頃、

少年の頭の上に手が乗せられた。

少年は警戒して、1度はその手を振り払うが、手を乗せた男の言葉に、
何かが揺さぶられ、その男の背中におぶさっていた。






この後、屍を食らう鬼は、『坂田銀時』という名前を得た。











大勢の仲間に出会い、たくさんの事を学んだ。














そして、大切な人を失う悲しみも知った。











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