【銀色小話】

□どうでもいいンだよ
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☆☆


「ッはぁっ、はぁっ……なかなか、減らぬな」
「桂ともあろうお人が弱音ですかィ?」
「馬鹿を言え。現状を言っただけではないか」
「にしても、わらわらわらわら……『狂魂党』はここまで勢力を伸ばしてやがったのか…」
「攘夷党よりも多いんじゃないか、桂」
「我々は少数精鋭なのだ。数だけの奴らには負けぬわ」





軽口で喋ってはいるが───既に疲労していた。
そもそも桂を逃さないように、気付かれない範囲での最大の隊士しか連れてきていない。
一人を捕らえるためだけの、隊士。
そんな数なんて知れている。

桂にいたっては戦う気などさらさらなく、真撰組ぐらいなら変装くらいで大丈夫だろうという甘い考えであったわけで。






刀を振るう。
鋼色が反射する。
大砲が放たれる。
背中を合わせて戦うことも出来ない。
桂は焦ったように眉根を寄せた。

焦ったように。




注意力が、欠けていた。
戦場で焦るのは、御法度であるというのに。



ざっ、と桂の死角から現れたのは刀を振り下ろす攘夷浪士で。
最初に気付いたのは近藤で。














「桂、後ろ……ッ!!」
「ッしま……」











ズダァァァアアアアァアァァァァァンッ……ッ















「ッ───……?」







───斬られて、いない?

というか、何だこの砂煙は。


桂の周りには激しく砂煙が俟っていた。
それが徐々に収まり、視界が明瞭になっていくにつれて。









「おいおい、何してんの?」









輝かしい、銀色が。










「貴様……っ」








その男は周りに倒れている攘夷浪士達の真ん中に立って。
いつものように、不敵に笑って。








「なになに、パーティ的な? んだよ、俺も呼べよ、水臭ぇな、───ヅラ」
「…フンッ。ヅラじゃない、桂だ───銀時」











やはりお前は変わらんよ、銀時。
どんな状況だろうと、必ず共に戦ってくれるところもな。












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