夢への道
□気づかない…
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──あるところに、悪魔がいました。
悪魔は生き物の影を取っては、その生き物になりすましては悪い事をしていました。
ある日、悪魔は恋をしました。
悪魔が恋をしたのは…………──
真っ赤に染まった両手を見て、ボクは茫然と立ち尽くしていた。
ボクに寄りかかるようにして倒れるキミの、綺麗な銀色の毛並みが赤黒く染まっていく……。
「……し、るばぁ…………?」
舌が回らない。
──何故、キミハ、ドウシテ、?
言葉が浮かんでは消える。
そっとキミの体を抱き上げる。
硬直し始めたキミの体は冷たくなってきて。
それが無性に哀しくて。
キミの肩に顔をうずめて、声を上げずに泣いた。
──あぁ、ボクは……
「キミが好きだったんだ………!」
──悪魔が恋したのは、笑顔が素敵なハリネズミでした。
しかし、悪魔は恋と感情がわからず。
そのハリネズミの胸を突き破ったのです──
end