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□点と線
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アキラが真ん中で、深司がその左。私は右。
アキラが話題を作って、私たちに振って。深司の声が聞こえないときは私に向かってパイプを通す。
たまに1人で喋って。
私はそれに乗ったり乗らなかったり。ボケることが多かったかもしれない。ツッコむのはアキラの役目。
でも彼はたまに暴走する癖があるから、その時は深司の役目。
深司は私たちの話を聞いてないようで実はちゃんと聞いてて、覚えてて、唐突にそれを引っ張り出す。
なんだかんだ、一番しっかり者でいざという時に頼れる役。
元々私とアキラは同じ小学校で、深司は中学に入ってから、アキラのテニス部繋がりで仲良くなった。
彼の性格に初めは少し戸惑ったけど、悪気があるわけじゃないとわかった。むしろ正直者で、クールだけど芯は熱くて、いいヤツだと思った。
性格の違う私たちは上手くやっていたと思う。
私たちの関係は完璧な正三角形。
どこから見ても間の距離は同じ。途切れたところなんて少しもない。
そしてそれがずっと続くと信じていた。