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□はねて、おちて、とらわれて
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そこで現れたのが救世主・柳蓮二先輩だった。

先輩は私が今回のテストで失敗し課題を喰らっていることをいち早く見抜き(正確には事前にデータで予測していたらしいのだが。知ってたんなら最初っから手伝って下さいよ!…とは言えなかった)、手こずっている様子を見かねて忙しい合間を縫って今日まで手伝ってくれたのだ。



「これで明日から心置き無く練習に参加出来るな」

「でも部長にも既にバレちゃってるんですよねー…確実にシメられる」

「もう終わらせたのだからちゃんと話せばわかってくれるさ」

「あっ、じゃあ先輩からも部長に言って下さいよ!」

「精市の御機嫌次第だな」

「えぇ〜……」



期待の持てない返答に思わず歪んだ私の顔を見て、先輩が今度は「ははっ」と声に出して笑った。
笑い事じゃないですよ、口を尖らせて呟いた言葉が夕闇に吸い込まれていった。





沈黙が流れる。
少し遠くで車のブーというクラクション音が無駄に延びた。



「…もう秋だな」

「……早いですね」



つい最近まで全国大会優勝を目指して練習していた気がする。
実際はそれはもう1ヶ月以上も前のことで、そこから先は時間の軸が正しく動き出したように日々が過ぎている。
私達は負けた。優勝を目前にして、三連覇の道を絶たれた。


終わったのだ、全国大会は。私達のあの長く、暑い夏は。
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