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□メギドの丘
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友人と別れた後の帰り道、ギズモは1人で杜王町のレンタルビデオ屋に来ていた。

ジャンルごとにビデオが陳列された棚を順番に覗いていき、洋画が置いてある場所を見つけるとそこに入る。

タイトルが50音で並べられているのに従って目的のビデオを探すと、それはすぐに見つかった。



「えーっと…『あ行』………あった、」



ギズモが手にしたのは『アルマゲドン』。
去年12月に日本で公開され、この杜王町の映画館でも大ヒットした作品だ。主題歌はギズモも聞いたことがある。



「ほんとに面白いのかなぁ、これ…」



今日の昼休み、最近面白い映画がないと話したときに、仗助が薦めてきたのがこの映画だった。



『お前アレ見たか?『アルマゲドン』。
ありゃあ感動するぜ〜、特に最後のシーンなんか主人公のハリーが地球のためによォ…』



それまで特に見るつもりはなかったが、まぁこれだけ流行ってるし仗助も言っていたので試しに借りてみることにした。
普段は邦画の方が多いので少し新鮮だ。


鞄の中の財布を確認しながら洋画のコーナーを出ると、店奥の棚の方に一瞬、覚えのある姿が見えた気がした。

白っぽいブルーグレーの長髪。尖った耳からは鼻にかけてチェーンのようにピアスが開いている。



(未起隆くん…?)



知り合いを見間違う筈はなく、それは同じぶどうヶ丘高校に通う支倉未起隆だった。

…しかし。ギズモは咄嗟に声を掛けることが出来なかった。



(あ、えっ…?ちょっ……、)



制服を着た彼が迷いもなくアダルトコーナーに向かっていこうとしていたからである。
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