short

□冬の日
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「さむーい…」
「…そーだなあーそろそろ雪降りそ」




そうだね!と顔をあげたら、冷たい風が通り過ぎていった。
はあっと吐いた息で口元にあった手をあっためる。
もう真っ暗なこの世界を孝介と2人きりで歩いている、そのことを意識すればするほど嬉しくってちょっと恥ずかしい。


手、繋ぎたいなあ。


なんて思いながら、あいてる右手をぷらぷらさせてた。
そしたら孝介が、あたしの心の中はお見通し、ってな感じで「手、繋ぎたいの?」なんて笑って言うもんだから。


「…うん」


そうあたしが小さく頷くと、孝介は少し下を向いて「ん」と手を差し出してきた。




それにそっと手を触れる。
どちらからともなく絡む指先。
孝介が「百香の手、つめてーな」と笑って、あたしの手を一緒にポケットにいれた。





あたしはこんなにドキドキしてるのに、孝介はいつもと変わらない。
あたしばっかり照れてるみたいでなんだか恥ずかしいな…




孝介は普段部活で忙しいから、2人で帰るのもすごい久しぶりで。
もちろんそれが寂しくないわけじゃないけど。




「…こーすけ」
「なに?」
「野球、頑張ってね!!」
「おー、言われなくても頑張ってんよ。」


あたしは、「孝介が野球してるとこ、好きだよ!」と少しおどけて言ってみせた。
それは本当に心から思ってる事だから。


そんなことを思っていると、不意に孝介がにやっと笑ってこう言ってきた。





「ねえ」
「なあに?」
「野球してないときの俺の事は好きじゃねーの?」



やっぱり孝介は意地悪だ…
あたしは「いっ、いわなくてもわかるでしょっ!」ってちょっと動揺しつつも普通に返した、つもり…
そしたら孝介が「ちゃんと言葉にしないと分からないこともあるよ?」なんて言うから…



「…すき、だよ」



孝介は「おう」と小さく呟いてあたしのほうを向いた。
そのあと「…おれも」とささやいた孝介の顔は、さっきより赤くなっている気がした。





(そんな君の事が好き)





実はこれが初作品だったり…
泉くんとヒロインの帰り道のおはなし
甘…くないな…自分で書いといてジャンルがわから(


121113 end*
雫 shizuku


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