長編 ロスカラR2
□STAGE.04 蒼き亡霊
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月明かりが照らすアッシュフォード学園の正門前、学園の方角からスザクが神妙な面持ちで歩いていた。
(ルルーシュはナナリーには嘘はつけないはず。だけど、あの反応……やはりルルーシュは記憶が戻ってないのか?)
ルルーシュの言動、物的証拠、状況証拠まで全てがルルーシュは白だと言っている。なのに、スザクの中ではモヤモヤとした感覚が拭えずにいた。
「遅いよ、スザク。」
「え?…レスか。」
そんな中、不意に声がかかり正面に視線を向けると、レスが正門に背を預け、凭れ掛かるように佇んでいた。
どうやらスザクの帰りを待っていたらしい。レスの後ろにはレスがブリタニアから持ってきた車が止まっていた。
「どうかした?あまり浮かない顔してるけど。」
「いや、たいした事じゃないんだ。ちょっと確認したいことがあったんだけど、間違いだったみたいで。」
「そう。でも納得できてない?」
レスの言葉に、スザクは否定できずに黙りこくってしまう。それを見たレスもそれ以上は聞かなかった。
「あ、そうだ。明日のことなんだけど。」
「総領事館に行く話しかい?」
中華連邦は黒の騎士団を匿ったのは高亥の独断であって、中華連邦は関係ないといっている。だから外交ルートを通じて、黒の騎士団を確認しに行く予定だ。
「悪いんだけど、僕はいけない。それを伝えようと思って。」
「どうして?」
「一足先に、ナナリーの所に行こうと思う。ほら、僕は選任騎士だから。」
苦笑するレスに、なるほど、とスザクは納得した。レスはラウンズでありながら、皇族の選任騎士も勤めている。そんなレスはラウンズの中でも多忙を極める。
「分かった。じゃあ明日は僕とジノ、アーニャの三人で総領事館に行くよ。」
「ありがとう、助かるよ。じゃ、航空機を待たせてるから僕は行くね。」
そう言ってレスは車に乗り込むと、スザクにバイバイと手を振って車を走らせて行き、それを見送ってスザクも政庁へと帰ることにした。