長編 ロスカラR2
□STAGE.03 新総督と協力者
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黒の騎士団の捕虜が解放されて数時間。救出された隊員達は歓喜し、半ばお祭りのような騒ぎになっていた。
そんな中、ゼロであるルルーシュとカレン、そしてC.C.の三人は一室に集まって話をしていた。
「ゼロを助けたナイトメアは?」
「星刻のルートで外に出した。」
「星刻?」
C.C.とカレンの話に出てきた名前に聞き覚えの無いルルーシュは聞き返す。
「さっき話した中華連邦の人。」
「そうか。なら、私も使わせてもらうとしよう。」
「で、そのパイロットはバベルタワーの?」
少し話がズレてきたのをカレンが修正する。一度戦っているのだ、そう簡単に信用出来るものでもない。
「名前などは伏せるが、我々の賛同者だと考えていい。」
「相手にギアスを使ったのか?」
「当面は必要なくなった。それよりC.C.、皇帝に……」
「ちょっと待って!私にもパイロットの事は秘密なの?」
ルルーシュとC.C.の会話を遮り、カレンが声を上げる。賛同者になったとは言え、正体不明では不信感は強まるばかりだ。
「いいだろう。秘め事ぐらい持ちたい時もある。」
「それはゼロとして?ルルーシュとして?」
「君との関係もオープンにはしていないだろう?」
「ちょっと!変な言い方止めてよ。」
黒の騎士団内での関係の事を言っているのは分かっているのだが、ルルーシュの言葉にカレンは顔を少し赤らめてしまう。
「ゼロの正体は?知っているのは私達と卜部だけになったが?」
「卜部はなんて言っている?」
「ゼロの正体については口外しないそうだ。大丈夫だろう。」
「そうか。ならばこれも伏せておこう。」
卜部が口外しないと言っているのならば、こちらにもギアスを使う必要性も無いだろう。
「ルルーシュ。私は今まで通り、ゼロの親衛隊隊長でいいのかしら?」
「あぁ。」
「分かりました。了解です。」
「よろしく頼む。」
それだけ言うとカレンは部屋から出ていった。
「ギアスの事は後で話そう。それより……」
「あぁ、分かっている。」
ルルーシュもC.C.の言葉に短く答えると、仮面をつけて部屋を出ていく。総領事の中庭では団員達が再開の喜びを分かち合っていた。
「お久しぶりです、中佐。」
「卜部、お前には苦労を掛けたな。」
藤堂と卜部も例外ではなく、再開を喜び合っていた。そんな中、一つの言葉が響き渡る。
「ゼロだ!」
その一言により、この場に現れたゼロに視線が集中する。ゼロの登場に会場は歓声が上がる。
「待て待て!」
しかしそれは千葉の声によって止められる事になった。
「助けてもらったことには感謝する。だが、お前の裏切りがなければ私達は捕まっていない。」
「一言あってもいいんじゃない?」
(やはりな……不信に思っている者もいるか。)
千葉の言葉に朝比奈も便乗する。千葉と朝比奈の言葉に頷く者もちらほらと見える。
「ゼロ、何があったんだ?」
そんなみんなの考えを察したのか、扇が質問を投げかける。
「全てはブリタニアに勝つ為だ。」
「あぁ、それで?」
「それだけだ。」
淡々とした答えに周囲がざわついた。
「他にないの!?言い訳とか、謝罪とか!!」
「止めろおっ!」
耐え切れなかった朝比奈が声を荒げるが、それを遮って藤堂が声を張り上げた。
「ゼロ、勝つ為の手を打とうとしたんだな?」
「私は常に結果を目指す。」
その言葉に藤堂は「分かった。」と一言答えると、ゼロの隣に立ち団員達を見据える。
「作戦内容は伏せねばならい時もある。今は彼の力が必要だ。私は彼以上の才覚を他には知らない。」
「俺もそうだ!みんなゼロを信じよう!」
「でも、ゼロはお前を駒扱いして……」
「彼以外の誰にこんな事が出来る!?ブリタニアと戦争するなんて中華連邦だって無理だ。
E.U.もシュナイゼル皇子の前に負け続けているらしいじゃないか。
俺達は全ての植民エリアにとって希望なんだ。独立戦争に勝つ為にも、俺達のリーダーはゼロしかいない!」
南が反論するも扇の言葉に言い返す事が出来ない。事実、ここまで戦えたのは全てゼロの作戦によるもの、ゼロ無しでは戦えなかったのは真実だ。
「そうだー!ゼロッ!ゼロッ!ゼロッ!ゼロッ!」
扇の言葉に玉城がゼロコールを始める。そのコールはいつしか、総領事館に轟くほど大きなものになっていた。