長編 ロスカラR2

□STAGE.01 その名は……
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病院のような施設の中を僕は逃げていた。息も絶え絶えに、長い間眠っていた体を急に動かしたせいか、あちこちが痛い。


そんな中、僕の頬は微かに上がって微笑んでいた。


(あの時も、最初はこうやって逃げていたっけな。)


遠い、懐かしい記憶を思い出す。


逃げ込んだ場所がアッシュフォード学園で、ミレイさんや生徒会メンバーに拾われて、黒の騎士団に入って、それからか世界が色で溢れてきたのは。


「見つけたか!?」


「いやまだだ。探せ!!」


(っと、昔を思い出している場合じゃない、か。)


後ろで僕を探している声が聞こえる。これ以上ここに留まるのは危険だと判断した僕は、出口を探して施設内を駆け巡る。


(しかし、またブリタニアに捕まるとはなぁ。色々と実験もさせられたし、前回と同じだよ、全く。)


「……っ?!見つけたぞ!!」


軽く溜息を吐き出しながら追手を撒くために通路をジグザグに走っていると、僕を探していた軍服を着けた兵士と鉢合わせになってしまった。


「動くな!動くと撃つぞ!!」


内心、舌打ちをしながら足を止めて兵士達と対峙する。兵士達の手には小型拳銃が握られており、その標準は僕を向いていた。


「よし、大人しく部屋に帰ってもらおう。発砲許可は出ている。逃げようとするなら撃つぞ。」


どうやら本当のようで、既に小型拳銃の安全装置は解除された状態だ。


(どうする?ギアスを使うか?)


しかし、ギアスは二度暴走している。リスクを考えるとそれは避けたい。


(……なら、方法は一つしかないか。)


そう判断した僕は身を少し落として加速しやすいようにし、一気に地面を蹴る。


「なにっ!?」


兵士達が驚きの声を上げる。それもそうだ。銃口を突きつけている状態だというのに、正面から突進してきたのだから。


「か、構わん!撃て!!」


それを合図に二人の兵士が小型拳銃の引き金を引く。バンッバンッ!と破裂するような音が響き、銃口から弾丸が発射される。


その弾の動きが僕には"見えた"。


「……う、うそだ、ガッ!?」


呆然としている兵士の鳩尾に重い一撃を入れ気絶させる。同様に他の二人の兵士も気絶させた。


(ふぅ。まさか本当に避けれるとは。これも実験のせいか……)


僕は弾丸を紙一重で躱していた。相手の狙っている場所が予測出来たとはいえ、正直自分でも驚いている。


(でも、段々と人間離れしてる気がするなぁ。)


などと思いつつ、新手が来ない内に施設を抜け出すことにした。
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