優しい話。
□私立東神学園物語2。
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時刻は午後、6時を指していた。
店の扉が開けられた時、ちりちりんと軽いベルが鳴った。
それから聞こえたのは、ワイワイと騒ぎながら入ってきた、
ーーー彼らの声だ。
それを耳にして、バッと時計を見て僕は、しまったと思った。
勉強に集中していて、この時間丁度になると彼らが来店することを、すっかり忘れていた。
彼らは僕の席から少し離れた所に座った。
この位置は、あちらから僕が見えるか見えないかのギリギリなところだった。
出来れば見えないで欲しいと思う。
彼らはやたらと僕に絡んで来て面倒くさい。
入学式のあの日から、廊下で会うたびに、僕の腕や肩を掴みながら話しだし、逃げられないのだ。
予鈴がなると見逃してくれるが、ここではそうはいかない。
一度捕まれば今日は離してもらえない気がする。
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