優しい話。

□儚さに咲く華
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*兎さんと鹿さん ー儚さに咲く華ー











ードォン…、ドドッ、ドォォン…









遠くの方で、花火の上がる音が聞こえる。


小さな音や大きな音が重なり合い交差して、胸に心地よい響きをもたらす。








「…ふぅ〜……」








縁側に腰掛けて、僕達はビール片手に『花見』をしていた。




部屋の電気は消し、少しでも花火がよく見えるようにしているが、花火が遠すぎて効果があるのかはわからない。






ヒョンは縁側に大の字で寝そべっている。


何だか眠そうだ。



ちょっと腫れぼったいヒョンの目蓋がうっすら開いたり閉じたりしている。






「ここからじゃ流石に綺麗には見えませんね…」





僕は独り言のように小さく呟く。







「ユチョンヒョン、やっぱり他のヒョン達と一緒に見に行った方が良かったんじゃないですか? ………とても退屈そうですよ」







少しヒョンの方へ顔を傾けて見つめる。







「…いいの。見たいテレビあったしね」




「…録画しておけばいいじゃないですか」




「それがさ、ジェジュンお気に入りの料理番組とモロかぶっちゃって…。
ジェジュン、わざわざブルーレイに録ってるでしょ?
一回でも逃すと泣いちゃうから……。
それで俺が残ることにしたの」






ヒョンが楽しげに話す。







「それは残念でしたねぇ」




僕は微かに笑い、手にしたビールをまたちびちびと飲みだす。






「……別に、残念ではないけどね…」




ーチャミナといられるし。ー








ヒョンがゆったりと言った。







まったくこのひとは、嬉しいことを言ってくれる。







「それは…ありがとうございます」






うん、とヒョンが返す。








「チャミナといると落ち着くからねー…すごく安心するよ」






またまた、可愛いことを。






僕は飲み干したビールの空き缶を傍に置き、ヒョンと同じように大の字に寝転んだ。





空がよく見える。







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