虹色の日々

□深緑色
1ページ/16ページ

Jside


今日は何をお土産にしよう。
とりあえず、メールはしておこう。

「沙織ちゃん、どうでした?」

「あと少しってとこかな。喘息でまだ酸素つけてるし、熱も出たり引いたりだしな。
それより、寂しがってさ。昨日はなかなか帰れなかったよ。もし、今日、予定がなかったら、晩飯付きで、付き合ってくんね?」

「いいですよ。久しぶりに沙織ちゃんに新作マジックでも披露しますかね。」

沙織から来たメールには、ヨーグルトとスケッチブックがリクエストだった。

「ねぇ、スケッチブックってさ、みんな、同じなのかな。」

「さぁ。大野さんに聞いてみたらどうです?俺、聞いてみようか。」

ニノがリーダーに聞いてくれてる。
ヨーグルトは帰り道でいいか。
晩飯、どうするかな。あそこのをテイクアウトしてもらうか。

「潤くん、沙織ちゃんのスケッチブックですけど、画材屋さんにもいつでもあるものじゃないみたいです。で、大野さんが頼んでおいてくれることになりました。後日になりますけど。」

「ありがとね。」

仕事が終わってから、頼んでおいた店に晩飯を取りに行って、病院の前のコンビニでヨーグルトと飲み物をいくつか買った。

病室に行くと、うがいと手洗いをしてから沙織のそばに行く。
食事が終わったところのようだったけれど、俺達と一緒にヨーグルトを食べていた。

ここ数日でグッと落ちた食欲で、好物のアイスクリームですら半分しか食べられなかったのに、今日は、ヨーグルトをひとつ、ぺろりと食べていた。

寂しがってる沙織を甘やかしたくて、抱っこすると、やっぱり俺の腕の中で、ずっとニコニコ笑ってる。

時々、沙織の白い指が俺の頬や耳、顔を触って遊んでいる。
指先が唇に触れた時、パクッと食べるようにすると、クスクスと声をあげて笑う。

ふと我に返ったように、ニノを見て、ヒラヒラと手を振ったと思ったらいきなりジャンケンをしてる(笑)

どっちか3勝するまで続いて、沙織が小さくガッツポーズをして笑った。

「勝った?」

「うん。私の勝ち(笑)残念だったね、和くん。賞品、あったのに(笑)」

「うそ?!そんなのあったの?早く言ってよ〜。」

「ふふっ。また、今度ね。」

「沙織の気まぐれゲームだね。今回の賞品は何?」

「そうねぇ。5つ集めて、パンの詰め合わせ、でどう?」

「ノッた!頑張る!」

「今日は、3勝だったけど、次からは一日一回、一発勝負だからね?」

ちょっと揺すって、ほっぺをつつく。

「俺は?」

「潤くんは、15個で交換ね。」

「三倍?!キツイな〜。」

「潤くんはチャンスが多いから、三倍でちょうどいいのよ。」

「詰め合わせのパンは?」

「何にしようかな。」

「メロンパン!メロンパンは入れてよ。」

「あー、いいね。コーンパン、食べたい。そうだ!俺のコーンマヨパンとクルミチーズ!忘れてた!」

「あー、ごめんね。退院してからね。」

「なに、そのおいしそうなセレクトは!潤くん、ズルいって。」

「この前のジャムパンとメロンパン、潤くんは食べられなかったからね。その時の分ね。」

「クルミチーズパン、食べてみたいな。」

「翔くん、好きそうだよな。」

「だね。絶対、ノッてきそう。」

「そのうち、広まるんだろうけど、積極的に広めないでね?どうしたって、7月過ぎなきゃ作れないし、退院しても、すぐには作れないと思うから。」

「ジャンケンしてたらわかるでしょうよ。」

「言わなきゃ、ただジャンケンしてるだけ、でしょ?」

「一番に気づくのは、大野さんでしょうね。」

「多分ね。」

「メロンパン、コーンパン、クルミチーズ、と後ふたつね。お楽しみに。」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ