2万hitフリリク

□気付いて
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「テツがさ、」


バカバカバカ


「そしたら火神が…」


僕の様子がおかしいことに気づかないで


「途中で黄瀬まで来やがって」


僕のことを放っておいて



「良?聞いてんの?」


「…聞いてます」


青峰さんの無神経!!




日曜日、青峰さんが僕の家にお昼を食べに来る約束だった
練習も休みで、朝から張り切って青峰さんの好物をせっせと作っていた

喜んでくれるかな、褒めてくれるかな

そのあと、お部屋でゆっくり過ごしたいな


そんな期待は見事に打ち砕かれ、お昼になっても青峰さんは来なかった

寝てるのかな?

携帯に電話しても通じず、青峰さんのお家に向かった

途中の公園にふと目をやると見知った顔が何人かバスケをしていた
その中に、本来だったら僕の家にいるはずの青峰さんがいた

夢中になってボールを追いかけている彼は素敵だけど、その時ばかりは腹立たしい

でも、もしかしたらゲームが長引いちゃって、終わったら来てくれるかも
僅かばかりの期待を胸にみんなとゲームをしている彼の笑顔にもやもやしながら帰路へついた



正直、いつだって青峰さんのまわりに嫉妬している
きらきらしてて、青峰さんの興味をひく人ばかりで
バスケだってキセキの世代程うまいわけではないし、面白いことのひとつも言えない僕
青峰さんと釣り合ってないことなんて承知で…得意の料理で彼の興味を必死に繋ぎ止めている
その上、こんなしょうもない嫉妬してるなんて知られたら、きっと僕は嫌われてしまう


「だけど、さすがに、ね」


夕方になっても来る気配がなく、作った料理を冷蔵庫にしまい、ふて寝する

もういっそ明日のお弁当を抜きにしてしまおうか、
でも、授業に出ない彼と一緒の時間を過ごせるのはお弁当の時だけ…

結局、僕は底なしなくらい青峰さんのことが好きなんだ



「良、何か怒ってんの?」


「怒ってないです」


「怒ってんじゃん」


「怒ってないもん!!」


せっかく2人きりのお弁当の時間に、青峰さんは昨日のバスケの話ばっかり
やっぱり僕との約束は完全に忘れているようだ


「良、俺何かしたか?」


付き合ってから…というより青峰さんは僕にはすぐに怒らずちゃんと話を聞いてくれる
本当はすごく優しい人



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