Calling

□1.路地裏の出会い
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暖かい季節に似合わない冷たい雨が降っていたあの日。





確かに



アイツの心の叫び声が聞こえたんだ







Calling
―1.路地裏の出会い―






不良の溜まり場で有名な大通りの路地裏。



『さむっ…』


「もう夏近いなのに今日は寒いッスねー。マジ雨降んなって感じ」




いつものように、後輩の沙奈と共に路地裏をたむろする。


冷たい霧雨か降る午後。




「…ん?」


『どうしたの?』


「なんか人倒れてるッス」


『また誰かケンカ…?』







自販機が並ぶ壁沿いに、見慣れない顔の男が一人。
壁に寄りかかるようにして倒れていた。



誰かに殴られたのだろうか。
額から血を流している。




『ここらで見ねー顔だな』


「そうッスね。生きてるのかな?」




沙奈がじぃっと顔を覗き込む。


それに気付いたのか、男は目を開き鋭い目で2人を睨む。




「んだよテメェら」



「あ、生きてた」


『ほんとだ』






普段ならそんなやられたあとの弱っちい男なんて興味ないし放っておくんだけど



そこらへんの不良と違った端正な顔立ちと、何かを訴えているような鋭い目に引き込まれてしまった。





『………ちょっとツラ貸しな』


「…あ?」




ガッ―――







一発殴って気絶させた。



「ええええっ…瑠衣サン…」


『沙奈、ソイツ運ぶよ』


「………は!?」


『ウチ運ぶよ。肩貸しな』



「え、ええええ…」















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