Novel

□星とチョコレイト
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落ち着いてから、うつ伏せたままのルーシィに声を掛ける。
「そんなに慌てんなよ」
何もしてねえだろ、と。

なあ、とハッピーに同意を求めると何故だかハッピーは楽しそうにまた口を押さえてからうん、と頷いた。

ハッピーの行動を疑問に思い、その理由を考えたみたが結局何も浮かばずに頭だけが痛くなってきたので考えるのを止めるとその間に顔を上げていたルーシィと目が合った。ルーシィは落ち着いた様子でため息をひとつ吐くと、机に置いていたチョコレートを手に取り、そのまま手を伸ばしてきた。

「あげるわ」
「お、あ……ああ」

ありがとう、と言葉を繋げてチョコレートを受け取る。その時、ルーシィに顔を見られていたことには気付かなかいくらい、オレはどきどきしていた。

もうLOVEとは並んでいない、ただのチョコレートをもらっただけなのに、ルーシィにLOVE、だいすきだと言われた気がしたのだ。

違うんだ。違う。

そう思い込もうとしても、歯止めの聞かなくなった思いは止まらなかった。

「いただきます」
チョコレートの包み紙を退けて、口に放り込む。とろりとチョコレートが溶けだし、甘い味が口内に広がる。その甘さを分け与えるように目を閉じルーシィに口付ける。優しく口付けをしてから目を開けば、ルーシィではなく見覚えのある青い猫が見えた。
「うげえ〜」

嫌そうに顔を歪めるハッピーを見て、オレも同じように顔を歪めた。
「なんでハッピーがいんだよ……」
「だってルーシィがオイラを……」
ハッピーはうわああ、と泣き叫ぶように喚き窓から飛び出し、星空の中に消えていった。


「……」
お互いに恥ずかしくなり、沈黙がその空間を支配する。

「……ルーシィ」
肩を小さく跳ねさせて、何よと見上げてくる。そんなルーシィが愛しく思えてたまらなかった。

ばらばらと掴んでいた包み紙を放す。

そのまま開いた手を机についてから、おでこにキスをした。

「……っ、ナツ!」
赤くなった顔で見つめてられて、思わず自分の顔も赤く染まる。

「ごちそうさまでした」

寒くはなかったが、ルーシィにこれ以上赤くなった顔を見られたくなくてマフラーで顔を隠してからじゃあなと手を振り、ハッピーを追うように窓から飛び出した。


星とチョコレイト【完】
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