昔話をしましょう。
□衝撃的な日
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雲ひとつない空から暖かな陽射しがぽかぽかと降り注ぐ、春らしい陽気だ。
祓魔師、朝倉華は職務の合間をぬって、亡き恩師の墓前に来ていた。
そこにはいつどんなときに訪れても、綺麗な花が絶えず置かれている。
人望の厚い彼であったから、沢山の人がそこに添えていくのだろう。
だから、あえて花は持ってこなかった。
変わりに彼が好きだったお酒をお供えした。
「華、挨拶は済みましたか。」
「あ。うん。」
「…?なんだか楽しそうですね」
付き添いで来ていたメフィストが不思議そうに小首を傾げた。
亡き人が眠る場所にも関わらず、華は無意識に微笑んでいたらしい。
「そう?…なんか、昔のこと思い出しちゃって。藤本先生がいなかったら私、どうなっちゃってたのかなーって。」
そういって華は遠い記憶、今の自分になるきっかけを与えてくれた恩人のことを思い出していた。
問いかけとも取れる華の言葉に、メフィストはうーん、と唸った。
「そうですねえ…まず、私との出会いはなかったでしょうな☆」
「あははっ、それもそうだねえ。あの日はほんと衝撃だらけだった!」
【昔話をしましょう。】
01.衝撃的な日。
「なつかしいなあー…」