頂き物&捧げ物

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元気が出ない時、困ったことがあった時、龍峰はミラポロスと幼い頃に撮った数少ない写真を眺める習慣がある。


それは、ミラポロスが既にこの世の者ではないと知っていても、蒼摩にとっては面白いことではなかった。


この日も、龍峰は手帳からミラポロスの写真をこっそり取り出して見つめていた。


幼い日の楽しかった思い出をたどっているだけ。


蒼摩もそれは分かっているが、自分以外の者にすがる龍峰を見ていたくはなかった。



「これ、保健室からもらってきたんだ。滋養強壮にいいんだって。打ってやるよ」


「保健室の先生がくれたの?薬もらったことはあるけど、注射は初めてだなぁ」



唐突に部屋にやってきた蒼摩が、注射器に入った液体を示した。


龍峰の体調を気にかけてくれる保健室の教諭が渡してくれたものだと信じ込んだ龍峰は、少し疑問に思いながら、左腕の服をまくった。



「注射、大丈夫か?」


「うん…大丈夫、だけど」



針先に集中する蒼摩の表情は、前髪に隠れて龍峰からは見えない。


蒼摩が血管に注射する技術を持っていたことに少し驚きつつ、龍峰は腕に刺さる針から薬液が身体に入ってくるところををぼうっと眺めていた。




 
 

その夜、龍峰は身体に回る妙な感覚で目を覚ました。



「は…っ、うぅ…」



呼吸が乱れて、目の前がくらむ。


隣にいる蒼摩の肌と触れ合っている部分が燃えるように熱い。


再び眠りに落ちることができなくて、布団の中で荒い呼吸を繰り返す。



「…効いてきた、みたいだな」


「蒼摩…!」



先ほど注射を打った張本人が、その薬効を確かめるように腕を撫でる。


まるでこの瞬間を待ち構えていたようだ。



「あ…っ!さっき、…何、打ったの…?」


「心配すんなよ。一晩だけしか効かないから」



何を打ったか、という問いには全く答えていない。


ただ分かるのは、この得体の知れない薬効が一晩続くということだけ。


いつもの明朗な蒼摩とは違う、喉の奥から響くような冷たい声で告げられて、龍峰の背を冷たい物が流れる。



「…ただ、龍峰が気持ちよくなるだけの薬だよ」


「ん…はぁぁ…」



腰の奥を走る感覚は確かに快楽に似ていたが、目の前で暗い目をしている蒼摩の考えが全く読めない。



「なぁ…ミラポロスの何がそんなによかった…?」


「え…ミラポロス…?」



龍峰の口からその名前が出てくることすらもう腹立たしさの原因になる。



「…まずはその口をふさがなきゃいけないのか」



抵抗する間もなく蒼摩の膝が龍峰の顔を跨いで、目の前に蒼摩自身を突きつける。
 
 

「もう慣れてるだろ。くわえて」


「そう…ん、んぅ〜っ」



掴んだ前髪ごと後頭部を枕に押し付けられ、いきなり喉の奥まで貫かれる。


生理的な涙が、ボロボロと頬を伝った。



今までこんな奥までくわえることを要求されたことはなくて、初めて蒼摩の大きさを口全体で思い知ることになった。



「んっ、んっ…ぐっ」



いっぱいまで開かれた唇が馴染む間も与えず、蒼摩の腰が前後に大きく揺れる。


その度に唇の端が引き攣れて、今にも裂けそうに痛む。



「ふ、く、ぅぅ…っ」



喉を突かれるのは苦しさしか呼ばないはずなのに、身体はそれすらも快楽と感じているらしい。


下着の中が濡れる感覚に、龍峰が小さく首を振る。



「ン…!くふっ…」



「何してんの。喉の奥に出してほしい?」



前髪を押さえた手がさらに強く握られる。


髪が抜けそうなほどに強まるその手を外そうと、龍峰の手が伸ばされる。


 
 
「…ダメ、反抗すんなよ」


「ぅん…!ふ、ふ、んぐ…ぅっ!!」



伸ばされた手を上から押さえつけて、蒼摩の腰が喉奥を容赦なく突き上げた。


込み上げる吐き気を堪えようと、唯一の手段である喉を締めるという動きをとった瞬間、蒼摩の先端から濃厚な白濁が勢いよく吐き出された。



「んん!ゴホッゴホッ!!」



気管に入った体液を吐き出そうと、身体が拒絶反応を示す。



「休んでる暇なんてないぜ、龍峰」


「ゲホッ!や…っ、蒼摩、もう…許して…」


「許しても何も、こんなビンビンに勃たせて何言ってんだよ」


「っ!ああ!」



蒼摩の無遠慮な指が寝巻き越しに龍峰の先端を強く摘む。


その刺激に、摘まれた場所から体液が迸る。



「こんなんでも感じるとか、お前ってすごいマゾ…」


「嫌…っ!感じてなんて…っ」



痛みに快楽を感じるなんておかしいと、龍峰はその感覚を認められない。


意固地な龍峰を鼻で軽く笑い、蒼摩の手が力任せに華奢な身体をうつぶせに押さえつけた。
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