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□Love potion
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俺、縁下力は同じバレー部の先輩でエースの東峰旭さんと恋人の関係にある。
告白してきたのは旭さんの方からだった。
普段大地さんや菅原さんにへなちょこと言われている旭さんが、勇気を出して俺に想いを伝えてくれた。
正直最初は戸惑ったけど、告白された時に嫌だとは思わなかったし、むしろ嬉しかった。その時初めて俺は旭さんのことが好きだったのかもしれないと知らされた。勿論答えはYes。それからは良く先輩達に最近どうだ?とおちょくられることもあるが、幸せな日々を送っている。


俺は、旭さんの声が好きだ。
あの落ち着いた、でも部活では力強い声が。
これは本人にも言ったことはないけど、言ったらきっと照れるんだろうなって思う。
「縁下?どうしたんだ、ぼーっとして」
かなりぼけっとしてたらしく、心配されてしまった。やっぱり、この声は心地がいいな。
「いえ、なんでもないですよ。」
「旭さんのこと考えてました」
これは事実だ。さっきから、旭さんのことしか考えていない。
「っ!?縁下……」
やっぱり、照れてる。そんなところも可愛いと思ってしまうあたり、相当旭さんに惚れてるんだなって思う。
あぁ、何か言いたそうな顔してる。なんだろう?
そんなこと考えてたら不意に旭さんが耳元で
「チカラ……愛してる」
なんて。
そんなこと言われたら全身の熱が上がっちゃうじゃないか。貴方の声が好きなんだから。どこかで好きな人の声は媚薬だって聞いたことがある。それってこういうことだったんだな。
あぁ、熱が身体中を巡る。この感覚が好きだ。この状態で触れられてしまったら。熱で溶けてしまうんじゃないかと思う。どうしようもなく、旭さんを求めてる。
でも、このままじゃ与えられているだけだ。
「俺も、旭さんのこと…あ、愛してる…っ」
普段敬語だから恥ずかしかった。
そっと旭さんの表情を盗み見た。目を見開いて、ものすごく顔が赤くなってる。旭さんも、俺と同じことを思ってくれてたら嬉しいな、なんて。絶対に言わないけど。





「やっぱり、チカラの声、好きだ…」
小さな声で言ったそれは、縁下には聞こえていなかったようだ。








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