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□指先
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もう息が白く色付き、もうすぐ冬の訪れが来る事を知らせていた。
俺は指が割れやすい体質だから、もうこの季節になるとテーピングが手放せなくなる。
練習で指が割れちゃって、そこから血が出てボールにつくのを防ぐためだ。
田中や西谷はあまり指が割れないから、羨ましい。



月「…縁下さん、その手どうしたんですか?」
縁「え?あぁ、これ?俺指が割れやすい体質だから、テーピングしてないとボールに血がついちゃうだろ?」
月「なるほど…だいぶ酷いんですね。」


突然の問いかけにびっくりしながらも、練習がおわったのでテーピングを外していっているところだ。
これでも一応、月島と付き合っている。
これから2人で帰るところなので、外したテーピングを捨てて並んで歩き出す。


縁「月島って指割れないの?」


素朴な疑問を投げかけてみた。
月島の手にテーピングに包まれているところを未だに見たことがなかったし、俺が言うのもおかしいかもしれないけど月島の指はものすごく綺麗だから、聞いてみたくなった。


月「そうですね、ほとんど割れないですね。それにしても、縁下さん酷いですね。こんなに割れてるなんて。」
縁「まぁ、毎年の事だからね。」



そう言うと、月島が無言で俺の手を触り始めた。
月島の指はすごく滑らかで、触れていてとても気持ちいい。


月「俺の手の潤いって言うんですか?それを分けたいくらいです。このままの状態だったら、分けられるんですかね?」
縁「ちょっ、月島…//////」


月島はそう言いながら、所謂恋人繋ぎをしてきた。
恥ずかしい反面、月島の手に包まれている感覚が嬉しくて余計に顔が熱くなるのがわかる。
それを見た月島は、いつものしてやったり顔をしていた。
そうやっていつも月島の手のひらの上で踊らされているのは分かっていても、きっと自分も満更でもないんだと思う。
これが惚れた弱みなんだろうな。








(その指先から伝わるものは)(貴方の潤いですか)(それとも温もりですか)(それともーーーーー)
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