クリスマスイベ

□ランキング報酬鈴木
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丸山の食事をたいらげた後、
宿泊の為客室に行こうとする
鈴木を三日月が見咎め。

そのままついてきてしまう。

嫌がってもどうせ退かないのだろう、
と諦め半分、鈴木は仕方なく
彼を部屋にいれてやった。



「世界〜、突っ立ってないで
もっとくつろいでよ〜」

「………」



お前の部屋じゃないだろ、と思い
つつも、言われるがまま客室の
ソファに座る。



「ご主人様言ってたよ〜泊る
時ぐらいはリラックスしてもいいいって」

「いつもリラックスしてるように
見えますが」



三日月は屋敷に居ようがショップ
店員としてすごしてようが、
いつだってこの調子だ。



「じゃーん。ほら、シャンパンも
あるんだよー。クリスマスっぽい
でしょ?」

「何それ。屋敷の?」

「うん。ご主人様がくれたの〜。
早く飲もうよぉ」

「…いい。高そうだし。」

「きっと美味しいよー?」

「お前と酒を飲みたくない」

「クリスマスに乾杯しよ。一緒に」


三日月はさっさとグラス二つを
用意して、どうやら高級品らしい
シャンパンを注いでいく。



「はい、世界」

「いらないって…」

「ダメダメ。折角ご主人様と
プレゼント交換、って事でこの
シャンパン貰ったんだから」

「プレゼント交換?」

「そう。クリスマスって、
プレゼント交換するんでしょ」

「まぁ……そうなんですかね」

「俺もご主人様にイケてるプレゼント
するって約束して、それで
初めてこれもらったんだよ〜」

「って事だから、世界も
飲まなきゃ駄〜目」



三日月は鈴木の細い腰を両手で
抱いて、がっちり固定し始めた。



「話が繋がってマセンが」

「え〜つながってるよぉ〜」



言いながら三日月はこくこくと
シャンパンを口に含み…そして


「んっ…」



鈴木の腰を引き寄せて口づけた。

少しだけ目を見開き、体を
こわばらせるが、すぐに脱力し、
三日月の手に体を預ける。



「美味しい?」

「……さぁ」

「俺にも飲ませて〜。ちゃんと
口移しでね」

「お断りです」

「え〜?」



ゆるゆると笑いながら鈴木を
自分の膝の上に乗せる。




「このまま食べちゃいたいけど…
それだとプレゼントにならない
もんね」

「………??」




三日月の一人言に鈴木が
小首をかしげた時ー

ガチャリ。



「帰ったぞ」


三宮が扉を開け、
つかつかと室内に入ってきた。



「おかえりなさーい」

「……っ……」

「三日月、約束を守った
ようだな」



ーーー鈴木は、先程の三日月の
発言を理解した。

プレゼント…という名目で、
オモチャとして二人に
弄ばれるらしい。

三宮はこの瞬間の為に、
わざわざ泊まれーとまで
命令したんだろうか。



「…趣味わる」



絶望感などない。もとより、ずっと
自分の人生には絶望している。

ただほんの少し…虚しさが強く
なっただけだ。

いつもより、少しだけ。



「あ、世界怒ってる?」

「別に」

「怒らないでよ〜、キスして
あげるから。好きでしょ、キス」

「んっ…ふ……んぁ……ぁ」



舌の付け根から歯の裏まで舌を
這わして、鈴木を味わう三日月。

彼の熱は、別の生き物のように
うねうねと、巧みに鈴木の
口内を侵していく。

物理的に体が煽られ、熱が…り
はじめていった。



「気持ち良さそうな顔。世界って
ほんとエッチ」

「……っ……やだ…」



鈴木はいつもと同じように…
もはや癖、となった「いや」の
嬌声を漏らし始めたが…

けれどいつもとは違う…明らかな
嫌悪感が自分の中に生まれている
事に気がついた。



「…っ……ン…く…ふ…」

「あれ?触ってないけどこっちも
反応してきたね。かんたーん」

「っ…や……っ……」

「嫌がるフリが相変わらず
得意のようだな」

「…っ…フリ、じゃない…っ、
や、だ…」

「んー?それって本気?」



鈴木は叶わないと解りながらも
三日月の体を強く押し退けようと
し始めていた。

半ば無意識に。



「今更だな。何故嫌がる」

「嫌…っ、だから…
こんな…」

「ねえ、何で嫌なの?言ってみて」

「っ…、……やだ…、…やだ……、
さわらな、で…っ」

「でも、ここは嬉しそうだよ?
ねぇ…世界」




追いたてる動きを始めた三日月に
対して首を横に振る鈴木。

三宮に、頬を
触られただけで昂ったような…
体の芯からくる熱ではない。

単に追い上げられているだけの、
意味のない行為。



「っ……たくない……感じたく、
ない…、から…っ…やめて…」

「なんで感じたくないの」

「…なんで、でも…嫌…今…、
やだ…」



昨日から先程まで感じていた
浮遊感が、馬鹿みたいに愛しくて…

それを削いでいくような、強引な
快感に鳥肌が立つほどの嫌悪感が
こみあがっているのだ。

しかもー三宮の前で
なんて…全てが嘘だったと、叩き
つけられているようで辛い。



「ちゃんと理由、言わないと
痛くするよ?」

「っ……って…、コイツの前…
じゃ、嫌……ねが……、
トーリ…」

「何言ってんの。前にもしたでしょ」

「でも、今日は、やだ…嫌だ……
クリスマス…、する、って
言ってたから…」

「…待って…た、のに……」

「……嘘……、…に、なりたく、
な……っ……」



支離滅裂な自分の言葉も、どうやら
泣き出しているらしい自分の
声もひどく耳障りだった。

それでも嗚咽を止めることが出来ずに、
赤ん坊のようにしゃくりあげ
始めている。




「ふん……」



すると三宮は不意に
鈴木の体を抱き起こし、軽々と
持ち上げた。



(……え?)



ふわり、と自分の体が宙に浮き、
戸惑う鈴木。



「命令だと言っただろう。
俺の部屋に来て貰うぞ」

「………は??」



事態を飲み込めない鈴木だったが、

三日月が「よかったね、世界」
と言いだすので…更に
目を丸くした。

ここまでの状況が、元より計画
されていたものだったの
だろうか?

だとしたら三宮の
命令で?一体なんの為に?

数々の疑問が浮かび上がったがー



「お前、ガキみたいに泣くんだな」

「っ……」



抱き上げられたまま三宮に
キスをされ…、思考が停止する。



(……あ)



そして、またあの時と同じ。

体の一番深いところから…熱く
なるような、じわじわとあたたかい
快感がせいあがってくる。




「クリスマス。するんだろ?」

「なに……、言って……」

「三日月に渡したシャンパンと
同じものがある。今日ぐらいは
お前も酔え」



抱えあげられたまま三宮の
自室に連れていかれる鈴木。

言いたい事はたくさんあったが、
心も体もイッパイで、何一つ、
正しく紡ぐことが出来なかったー
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