Voice of rescue【救出の声】
□0―落ちる
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いつからか、存在が消えていた。
教室に入り自分の机を見ると、赤く染まった彼岸花が2、3本硝子の花瓶に挿さっていた。
(無駄なこと、するよね―――……)
なんて、思ったりして。
いじめなんて、楽しくないのに。
家族に言ったら卒業するまで我慢だとか言うけど……もう精神はボロボロ。
つい最近大切な友達が自殺した。
「ごめん、もう疲れちゃった。」
友達はそう残して屋上から飛び降りた。
疲れたのは私もだ。
だから私も死にたかった。
「もう、疲れたよ。」
足場は少ない学校の屋上。
今日は休み。
「今、行くね。」
足場が消える。
ビッ、ブチブチ、グシャッ
片目が潰れ、肉が抉れて、頭が潰れる。
痛い、痛い。
その思いを弱らせようと、黒い雲から雨が降る。
痛みが消える、命が消える。
その瞬間私は思った。
「あぁ―――……死ぬのって怖い……」