IS〜Phantom operator〜IS長編

□納得のいかない就任
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サァァァァ………
ディアスに保健室へと運ばれて、暫くしてからセシリアは自室でシャワーを浴びながら、先程行われた試合を思い返していた。
…あの試合…完璧にわたくしの完敗でしたわ…
シャワーノズルから噴き出す熱めのお湯を全身に浴び、水滴は肌に辺り弾け、ボディラインをなぞる様に落ちていく。白人にしては珍しく均整が取れた体と、そこから生まれる流線美はセシリアのちょっとした自慢だ。
…ですけど…試合の勝敗よりも…彼のあの雰囲気…
試合の最中、自分の放つ全ての弾丸を見切り、自分に切迫した時に感じた雰囲気を思い出し、セシリアは熱いシャワーを浴びているのに関わらず身震いした…だが、それ以上に、彼の瞳を見ていないのに関わらず、セシリアは何故か胸が苦しくなった。
「獅子神…ディアス…」
彼の名前を呟けば、恐怖と共に別の感情を感じた…
「………」
知りたい、彼は怖いが…何処か、人と距離を取っている…
多分、あの容姿は人を遠ざける為にしているもの…でないと、説明がつかない…
「………」
この胸の恐怖以外の感情と何故、彼が人と距離を取っているのかの訳を…
浴室にはただただ水の流れる音だけが響いた。
…知りたい、彼の事を…
彼の事を知るため、セシリアは決意をすると、シャワーのノズルを捻りお湯を止めた。
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