IS〜Phantom operator〜IS長編

□イギリス代表 セシリア・オルコット
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「ディアス、さっきはありがとな」
「…別に、俺は必要無かったから貸しただけだ」
 二時間目の授業が終わり、一夏が参考書を貸してくれた事に礼を言いに、ディアスの席に来れば、一人の女性が二人に近づいて来た。
「ちょっとよろしくて?」
「へ?」
「あぁん?」
 …そういえば、こんなイベントが有ったな…本来なら、一夏だけが………あっ、そのキーが俺の所に居るんだから、俺も巻き込まれたのか。
「聞いてます?お返事は?」 
 金髪が鮮やかな白人特有の透き通ったブールの瞳をややつり上がった状態で二人を見る女性…セシリア・オルコットが腰に手を当ててた。
「あ、あぁ…聞いてるけど………どういう用件だ?」
「返事をしただろうが…」
 ………ちっ、ヤバイな…この世界に転生して、あんな事を受けたんだ…こんな高圧的な奴を見ると…だが、我慢だ。
「まぁ!なんですの、そのお返事。わたくしに話しかけられただけでも光栄なのですから、それ相応の態度と言うものがあるんではないかしら?」
「………」
「馬鹿かてめぇは?名前も知らねぇ奴に話しかけられて光栄だと思って居る程に、俺は阿呆じゃねぇんだよ。それにだ、相応の態度と言う物があるんじゃねぇのかって、返してやるよ。」
 セシリアの言葉を聞き、一夏はイラッとしながらも無言で耐えたのだが、ディアスはかなり不機嫌そうに言い返せば、セシリアはつり目を細めた。
「何て失礼な方!このイギリスの代表候補生のセシリア・オルコットを!入試主席のこのわたくしを!?それにレディに対して何て口のきき方なんですの!?」
「失礼なのはお前だろ、男だからってんな高圧的な態度をしやがって、レディだなんだって言う前に人としての常識と口のきき方ってのを勉強しやがれ!」
 …ダメだ…歯止めが効かない…
 セシリアとディアスを中心に険悪な雰囲気が教室に渦巻けば、一夏がディアスの肩を叩き
「なぁ、代表候補生って何?」
 その言葉を聞き、聞き耳を立てていた数名の女生徒はずっこけ、ディアスは溜息を吐き出して、険悪な雰囲気は霧散した。
「あ、あなた!本気でおっしゃってますの!?」
「あぁ、知らん」
 いち早く復活したセシリアが凄い剣幕で一夏に問いかければ、一夏があっさりと認めれば、セシリアも溜息を吐き出した。
「…あぁ〜…代表候補生って言うのは国家代表IS操縦者の候補生だ。…まっ、俺からしてみれば、そんなので偉ぶっているのはただの阿呆だがな…」
 ディアスが簡単に説明すると、その説明を聞いたセシリアは鬼気迫る表情でディアスを睨み付けた。
「代表候補に選ばれるのはエリートのみでしてよ!」
「だが、代表に選ばれなかったら意味がねぇだろう。それともエリートだから褒められたいのか?だったら、褒めてやるよ。おぉ〜セシリアちゃんは偉いでちゅね〜」
「こ…人を馬鹿にして…!」
 セシリアが何かを言えば、ディアスはそれに対して、容赦の無い馬鹿にした態度で相手を挑発すれば、馬鹿にされた事が相当頭にきたのか、セシリアは人を睨み殺せそうな目付きでディアスを睨み付けた。

キーンコーンカーンコーン

「っ……!また後で来ますわ!逃げない事ね!よくって!?」
「はっ、誰がてめぇみてぇな、高飛車女から逃げるか!徹底的に返り討ちにしてやるよ!」
 三時間目のチャイムがなり、セシリアが席に戻れば、一夏とクラスメイト達は険悪な雰囲気から解放されて、ホッとした表情を浮かべて自分達の席に戻って行った。
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